企画と現場の距離が近づき、OutputよりもOutcomeを優先する意識が根づいた(後編)

  • #開発現場コーチング

株式会社Rise UP

前編中編に引き続き、日本最大級のカラーコンタクトECサイト『モアコンタクト』を運営する株式会社Rise UP様にて、菅様、孫様、上園様にお話を伺いました。(肩書き、状況などは2019年2月21日当時のものです)


##『ダイヤ』の誕生が意識の共有を促進

ーーこのチームには『ダイヤ』という概念があると聞きました。どのように誕生したのでしょうか?

:きっかけは、ビジネス価値を示すような概念を導入してみないか、という話からだったと思います。最初は、売上の数字か、コストか、本当に金額で見るのかという話を皆でしていました。最終的には規模感と同じようなイメージで、価値をざっくりと示してみようということになったんです。

中村:そもそも開発するものの規模感だけが、自分たちの中の判断材料だったんですよね。ただ、この施策とこの施策はどちらが簡単かはきちんと記録していて、簡単そうだから早くやろうと。
でもそれはアウトプットにしかフォーカスしていないんですよね。その製品がどのぐらいの利益を生み出したのかという話をしたら誰も分かりませんからね。アウトカムを優先する意識が根づいたのは『ダイヤ』の存在が大きいですよね。

:そもそもは、スケジュールの優先順位を決めようと思った時に、規模が大きい方を優先して開発していました。何となく大きいから大事だろう、みたいな安易な考え方で(笑)。
でも、価値で優先順位を決めないとダメなんじゃないの?となりました。アウトプットよりもアウトカムを基準にする方が良いんじゃないの、と。アウトプット量が減っても、アウトカムが増えれば全然問題ないし、むしろその方が良いですからね。
そこでダイヤという仮想通貨のような概念で表現するようにしました。ダイヤという価値基準が生まれたことで、サイズが小さくても価値が大きい開発を優先的に取り組めるようになりました。

上園:ダイヤが誕生したのは大きかったですね。価値に対する対話が増えました。なぜやるかは分かった、でもなぜやりたいのかは詳しく話せていなかったんです。例えば、菅ちゃんがとある開発を3ダイヤとしていて、孫さんは2ダイヤ、僕は1ダイヤだと思っている。
これによってわかるのは期待値の持ち方が違うということです。プロダクトオーナーである菅ちゃんが「これは絶対に面白いことができるからやった方が良い。利益も生まれると思う」と、この開発に期待していることが分かります。だったらその期待値に賭けて、優先的にやってみようという会話ができるようになりました。

中村:ダイヤの概念を生み出したのはすごいと思いますよ。

:最初は、1ダイヤの価値基準が全員バラバラで苦労しました。スタート当初は、「とにかく“ざっくり”で考えてみよう」と口酸っぱく言ってましたね。開発が完了した製品を見て「これを基準として、この価値を○ダイヤと考えよう」とダイヤの価値の意識共有を図りました。
そこから、過去に開発した機能の価値を決め、相対的にこれから開発する機能のダイヤを決定するという『相対的な価値』でやっています。最近は、全員がほぼ近い認識になってきたんじゃないかな。

上園:感覚が近くなってきましたね。実は僕、ダイヤが生まれた時は別のプロジェクトに入っていてこの考え方が誕生する瞬間に立ち会っていないんですよ。だからチームに戻ってきた時にダイヤのことを言われて「なにそれ?」ってなりました(笑)。「2ダイヤがこれで、5ダイヤはこれだから相対的にやってるよ」と言われました。会話していくうちに「こんな感じなのかな」という感覚が育まれていきました。

:私が気をつけてよく言っていたのは『これはコミュニケーションの道具であって、ダイヤの大小が人の評価とは一切関係ない』ということ。あくまで優先順位を決めたりする時の『コミュニケーションのための指標』であることは何度も念押ししました。

ーー現場コーチ導入で、開発チームにどんな変化が起こりましたか?

:現場コーチがいなかった時は「これで本当にいいのか」や「これで本当に正しいのか」と、不安の中でやっていました。中村さんに入ってもらい、やりたいことをやるためのアドバイスや、改善につながるアドバイスを数多くしてもらいました。
現場コーチに来てもらう前は「教えてくれる先生」のイメージだったけど違っていました。一番大きかったのは「まずは自分たちで考える」という姿勢に変わるきっかけになったことです。

上園:今までチームで働いたことがなかったんです。ようやく最近になって「チームで開発するってこんな感じなんだ」と実感できるようになり、働くのが楽しいと感じるようになりました。
また、心理的安全性が高く、何でも言い合える仲間になれたことで、自分と違う意見であっても「そういう考え方もあるのか」と思えるようになりました。
さらには、自分たちだけで解決できなければ、他の人をどんどん巻き込んでいこうという思考になりました。現場コーチとして中村さんに入ってもらって本当に良かった。本当に本に書いてあった通り「アジャイルって楽しいんや」と思えるようになりました(笑)

:以前は『企画面は全部ひとりでやらないといけない』と考えていました。チームになってからはメンバー全員で考えることが多く、チーム感としての一体感が増したと思います。あと、当社には優秀なエンジニアさんが社内にいるのですが、今までそれを生かせていなかったんだな、と実感しました。相互にコミュニケーションを取りながら一緒に作る感はなかったので、社内に外注エンジニアがいるような感じだったんだな、と。


##アジャイルで仕事が楽しくなるのを実感!

ーーアジャイルでの仕事は楽しくなりましたか?

上園:楽しくなりましたね〜(笑)

:楽しくなりました。本当に楽しくなりましたよ(笑)

:ちょっとめんどくさいところもあるけど、楽しいですね(笑)

中村:このチームは1年間で視座も変化し安定しました。次のステップとしては、隣の部署やどこかのチームをひとりからでも良いから巻き込んでいくことですね。あとは現場コーチの関わり度合いが減っていけば良い。メンバーのレベルが高いので、あとは本人たちがもっと上に行きたいかどうかで、これからの進化が決まると思いますよ。

ーー最後に、現場コーチ導入を検討している方々にアドバイスをお願いします。

上園:今の仕事のやり方に満足していたり、変化を望まない人には絶対におすすめできないですね(笑)。だけど「自分たちはもっとうまくやれるんじゃないか」とか「改善したいけどやり方が分からない」とか、どうやれば皆を巻き込んで面白いことができるかを暗中模索している人にとっては、凄く力になってもらえます。

:マネージャー職の人が、管理や評価のために導入するのはやめた方が良いでしょうね。

:皆が変わりたいという想いがあれば、現場コーチ導入は良い方向に進むと思います。「こういう事例があって、他社ではこういう風にしているよ」と教えてもらうのですが、それを踏まえて自分たちはどうするかを皆でコミュニケーションしながら決めないといけない。
でも、私たちは『変わりたい!』という想いがあったからうまくいったと思います。その想いがあれば、現場コーチ導入は絶対に良い効果をもたらしてくれると思いますよ。

現場コーチの中村がサポートするようになって、視座が上がり、チームとしての一体感や意識共有が進化した「モアコンタクト」のメンバーたち。今後のさらなる活躍が楽しみです!

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