- #開発現場コーチング
株式会社リアルワールド

## お客様インタビュー:株式会社リアルワールド 金光様(前半)
広告・ポイント系サービス、クラウドソーシングサイトの運営をしている株式会社リアルワールド様。正しいものを正しくつくりたい、という志を持ちながら、数々の課題を抱えていました。
現場コーチ中村が入ることで、チームはどう変わったのか、執行役員の金光様にお話を聞きました。
(※肩書き、状況などは2016年11月1日当時のものです)
※このインタビューの後半はこちら

二人三脚でコミットしてくれるのがコンサルとの違い
-現場コーチが入る以前の問題点はどんなことだったのですか?
金光様(以下敬称略):社内組織の体制変更が、半年、3か月と頻繁にありました。良いところもあるんですが、組織としてナレッジやノウハウがたまっていかない大きな課題がありました。本来は発展させるための変更なのに、体制変更するたびにゼロからのスタートになってしまっていました。
それによってサービスの成長スピード、品質だけでなく、メンバーのスキルとスタンス、マインド、離職率も非常に気になっていました。ちゃんと地に足をつけて確実にストックしていきたい。そのために仕組み、フォーマット、そこに紐づく魂が必要だということで、中村さんにお願いしたのがきっかけです。
-ギルドワークスと出会ったきっかけは?
金光:オズビジョンさん主催のエンジニア勉強会ですね。
これまでもコンサルはお世話になっていたんですが、結局うまく活用しきれなかった。中村さんの現場コーチとしての取り組みをおうかがいして、その中でのフレームワークとかメソッドが非常に弊社の現場にマッチしていると考えて、すぐにお声かけをしました。
-どこが心に一番響いたんですか?
金光:内容自体もそうですが、すごくハート、心に来るものがしっかりとあった。スピーチされてるときの熱量が自分に一番刺さったんですね。きれいごとって、いくらでも言うことはできる。でも実際の現場での、気づきや経験からくる熱量といったものですかね。良い表現が見当たらないんですが…。
中村:きれいなことはなんぼでも話せるんですが、現場ってそんな簡単ではないですよね。だからこそ、うまくいかないことも包み隠さず話すというのをモットーにしてます。多分その辺が金光さんに刺さったんじゃないかという気がしています。
金光:「何に対してコミットするか」という話をされていて、コミット対象が、事業の成長、サービスの成長、そこに紐づくひとりひとりの成長で、一緒に二人三脚でやっていく、というのを非常に大事にされていました。そこがそれまでのコンサルとは明らかに違うところだと感じました。
-中村さんがリアルワールドさんの現場にコーチとして関わりたいと感じたのはどこですか?
中村:金光さんと話をして、本当に困っていたからです(笑)
ギルドワークスとしては「お金払うからやってよ」というのはもちろん「スクラムやりたいんです」「アジャイルやりたいんです」って手段と目的がごっちゃになっている場合も、多分そこまでは乗らなかったと思います。しかし、金光さんや現場の人と話していると、「正しいものを正しく作りたいんですが、やれない。どうしたらええかわからない」という感じだったので、「役立つんだったらやってみようと」と。金光さんたちもちゃんと話を聞いてくれて「Whatさえ教えてくれたら良いんだ、というタイプではないな」と思ったこともあります。
最初はワークショップで深く知ることから
-中村さんから見て、リアルワールドさんの、第一印象は?
中村:第一印象は若い人が多い、真面目そうな方が多い。
金光:当社では新卒でプロパーの社員が全体の70%を超えています。入社してもらう際に、主体性を持って変化を恐れずに取り組める人か、というのを一番大きく見ています。あと、全国各地に人事が飛んで、目についた子、優秀な子をがピックアップして、口説いていったりとかするんです。なので、すごく学歴の高い人間か、根性でやってきましたみたいなタイプのどちらかが多いですね。
中村:妙にひねくれた人とか、嫌な感じの人はほとんどいなかったですね。
金光:ワークショップを2・3か月ほどやっていただいて、その上で本格的に現場に入っていただきました。
中村:現場コーチの入り方として、現場にいきなり入ることはあまりないですね。まずは、現場が何を思っていて、どんな課題を抱えているのかをヒアリングやワークショップを通じてそこから観察します。金光さん、人事、現場、それぞれどう見ているのかヒアリングして課題と事象の因果関係図を作り「それぞれのレイヤーでこういう問題があります。なので、ここからやりましょうか」みたいな話をさせていただいて。10~11月に、2週間に1度ほどワークショップをやり、本格的に入ったのは2016年1月からですかね。
ワークショップは色々あるんですが、その時は自社のGendamaというポイントサイトに対する自分達の認識や理解度を話し合うものにしました。ユーザーは誰で、何に困ってて、そのためにどういう施策をやっているのか?ということを何人かに問いかけ、話し合いました。すると共通認識を持っているはずがみんなバラバラなこと言うわけですよ。

ミドル層の不在が招いた課題
-中村さんから見た問題点はどんなところでしたか?
中村:今も当時もミドル層が不足していて、開発や仕事のやり方を正しく教育する人が誰もいなかったんですね。その結果としてあまり良いソフトウェアが出来ていない。「俺たちはこうだった」と10歳も20歳も上の人の成功体験を伝えても動くはずないです。けれど他の方法を知らないのでそれを伝えると、何人かは生き残るんですが、そうじゃない人は次々と辞めてしまう。そういうサイクルがあったみたいです。なのでトップ、ミドル、現場、それぞれのレイヤーの人たちに合ったトレーニングやコーチが必要なんじゃないですか?という話をしました。
金光:その辺は常に課題としては認識していたんですが、充分には向き合えていなかったですね。私も当時入社4年目で、現場で修羅場はたくさんあり、その度に「もうこんなことは2度と起こしたくない」と思っていましたがやりきれなかった。シンプルにサービスに向き合える状態を現場で作ってあげたい、かつ、誰がいなくなっても、あるいは誰かが加わったとしても、ちゃんとユーザーさんとクライアントさんに良いサービスを提供し続けることが崩れないようにしないといけない…という思いを実現する必要がありました。
-中村さんが入ったことでどう変わりましたか?
金光:1月からスタートした当初は中村さんから各現場のメンバーに対して「聞かれたら答えを教える」というスタンスでやっていただいた。「What」「How」をしっかりとインプットしてもらったら、チームのパフォーマンスとそれに紐づく事業の数値が非常によくなっていったという変化がまずありましたね。
その後「なぜ」からの応用力を鍛えて作っていくというスタンスに変えていただきました。ちょうどそのタイミングで、4月の組織改編があったんですね。プロダクト、開発チームの組織の一本化でチームの形が変わりました。そこでそのオーバーヘッドで3週間か1か月ぐらいちょっと停滞がありました。
中村:1月から3月は、まずはアジャイル開発の1つのやり方であるスクラムを中心に伝えました。その後も比較的課題に対し、「こうしてみたらどうだろう」と提案という形である程度の指針は示していました。ある程度慣れてきた所で「自分達で考える」度合いを増やしていこうとした同じタイミングで、4月の組織変更もあってパフォーマンスが落ちました。
金光:そういうのを乗り越えていった8月にそのチームをまた2つに分けるという組織変更が再びありました。その時の適応スピードが4月と全然違ったんですね。体感としてもそうですし。4月から8月の4ヶ月の各人のレベルが明確に上がっていました。チームを作るスタート地点が明らかに今までより格段に上がったというのが一番大きな変化ですかね。
中村:4月にチームを作ったとき、3月までで知った方法だけではうまく行かなくて最初はパフォーマンスが出なかった。その期間は現場はすごく苦しんでたと思います。それが嫌で8月の時には上手くやれたことで、適応力はついたのかなと。
金光:「結局、大事なことは一緒だよね」「外しちゃいけないことはこうだよね」「変えていいことってこうだよね」とか、責任者もメンバーも中村さんにずーっともう口うるさく言っていただいてたので、徐々に染みついてきた感はありましたよね。
中村:8月の組織変更を迎える際、チームに「4月の組織変更の後、うまくいかない時期があったよね?自分たちはできると思ってたけどあっという間にパフォーマンスが落ちたことを思い返してほしい。何が起きたのか、どういう気持ちだったのか、ちゃんと向き合って、どうしたら良いのかを考えてみて」って話をしたんです。そのための道具も渡したしレクチャーもしました。そうしたら自分たちで、お互いどういうことができるか、どんな期待を持っているかを話し合わないままではすれ違うということに気づいて「最初の1、2週間はそのために使わせて欲しい」とちゃんとチーム作りをやる時間を取りました。
少しずつ自己主張できるように
-そこで、仕事のやり方を考えるのではなく「気持ち」を聞くというのはあまりないのでは?
金光:中村さんのそこはすごいと思いました。多分、普通は「こういうのあるよ」とか「こういう時ってこうするよね」とか、いきなり方法論になると思うんですよね。でもやってるのは人間。この取り組みの中で、自分の気持ちを発する、伝えてくれる人が増えましたし頻度も増えました。全員ではないんですが、そこは結構大きいですよね。
中村:自分なりの意見、意思を出す意識が弱く、そういうトレーニングをしていないという方が多かったので。
金光:「何か言ったら怒られそう」「変なこと言ったら評価に…」とまではいかないですが、彼ら、彼女らに意思、意見を出すことが自分にとっても周りの人たちにとっても、大事かつメリットのあることだというのを、会社として教えてあげられなかった。
あとは、意思を表明するには、自分が今どういう状態なのか、どう思ってるかが自分の中で整理されてないと発せられないのですが、そういうトレーニングも足りてなかった。そこで言うことが大事なことという意識付けと、言うためには何が必要か。そういったところを非常に重点的にやっていただいた。
-自己主張が出てくると、全体の雰囲気も変わったのではないですか?
金光:もともと仕事中以外は賑やか、仕事になると、よく言うと真面目、悪く言うと意思があまり強く出ない感じだったんですが、そこはすごい変わりましたね。現場のメンバーは非常に素直ですし、正直ですし、ポテンシャルはすごいあるんだと強く実感していたんですね。それを活かせないのはなんでだろうってずっとあったんですが、中村さんと一緒にやらせていただいて答えが見えてきた。一番大事なことだった。現場のメンバーだけじゃなくて、私も勉強させてもらって、すごい進化させてもらったというのはありますね。
-金光さんご自身もどこか変わりました?
金光:「これ大事だよね」って当たり前のことってあると思うんですね。何事をやるにしても最終的にはとにかくシンプルなんですね。複雑に考えてしまうと、当たり前にやらなくちゃいけないことが気がついたらおろそかになっている。常に原点とか前提に立ち返って、シンプルに物事を考える必要があると現場に伝える役目なので、自分自身もそうじゃないといけないよねと強く思うようになったのは変化ですね。
中村:人間って感情の生き物なので、「お前が言うなよ」というのがどっかにある。コーチはずっとその現場にいるわけではないで、コーチがいなくなった時、背中を見せる存在がいたりすることが規律がチームに浸透するかの分かれ目の1つです。なので、金光さんには背中を皆に見られる人がどう振る舞うかみたいな話は、何度かした覚えはありますね。
-正しいマネージャーのあり方、みたいな?
金光:正しいものを正しくつくりたい。基本的に全部それですよね。

成功体験と振り返りの大切さ
-もともとのポテンシャルがあるのに活かしきれないをなんとかするためには、どんな方策がありますか?
中村:状況によるのですが、リアルワールドさんの開発チームの場合「オーダーされたものをオーダー通りに作らないといけない」っていう思い込みがあり「言われたから作る」という姿勢になっていた。それで「こうすればもっと良いものになるかも」という意見がなかなか出てこなかった。それは真面目だから、というのもあるし、社長一代で築き上げたという組織の背景もあった。
金光:社長は頑張ってワンマンを抑え込んでいましたね。
中村:簡単に言うと、本当はやりたいっていう現場の想いがあって、それを蓋しているものを取ったというだけの話。その蓋はそれぞれ違ってて「何かが引っかかってるから」「昔怒られたから」「目立つのが嫌だから」「自分なんてまだまだだから」といろんな理由があって。でも自分たちのプロダクトって正解があるわけじゃないんだから、やってみて違ったら、そのときに方向転換をすれば良い。だから「まずやってみようよ」とずっと言い続けて、やって良かったら「良かったよね」って良いフィードバックをちゃんとして。というのをやっていった。
-それは1・2回じゃなくてずっと言い続ける必要が?
中村:リアルワールドさんの開発チームでも、毎週、何を作るか決めて、振り返る、っていうリズム、サイクルでやっていったんですよ。「この一週間何作って、結果どうだったの?」みたいな話をする。やっぱり最初って何もできないんですよ。やると言ったことが半分も出来なくて。振り返っても誰かが要求をちゃんと伝えてくれなかったとか他責な言葉が多かったので「まずは自分達でできることは全部やった?それから言おうか」と脅したり(笑)。
金光:「なんでうまくいかないんだろう?」「そういえばあれやってなかったな今回」とか「グループで認識の齟齬があってこんな問題が起きたんだ」とか。そういうふりかえりが、以前はできてなかった。それが自然と現場で出来るようになってきたのは大きな変化ですね。マネージャーが「ふりかえりやるぞ」「計画立てるぞ」というのは当たり前じゃないですか。今はメンバーから「ふりかえり、やりましょう!」と自然と出てきているんです。これも大きな変化ですよね。
そうなってきたのは、物事をうまく進めるために必要なことは何なのか、メンバーひとりひとりの体験、経験から、徐々に感覚的にも頭でも、ちょっとずつわかりかけてきたからですね。
ふりかえりを重ね、実績を積み、自信をつくることで、自己主張が出来るようになってきた若手メンバーたち。
しかし、まだすべての課題が解決したわけではありません。次回は現在、そして未来の取り組みについて伺います。
こんなことでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。ギルドワークスのメンバーがお話をお聞きします。
- 立ちあげたい事業があるが、本当に価値があるのかどうか自分で確信が持てない
- 新規事業を立ち上げなければならなくなったが、潤沢な予算があるわけでもないのでどうしたらよいのかわからない
- 企画が実現可能かどうか開発の視点を組み入れながら仮説検証したい
- はじめてのことばかりで右も左もわからない