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ヒューマンリソシア株式会社

 
                                    
 ヒューマンリソシア株式会社
ヒューマンリソシア株式会社
ヒューマンリソシアは、1988 年の創設以来、グループ内の教育事業をバックボーンに人材派遣、正社員紹介事業、アウトソーシング・国際人材コンサルティング・企業研修などの幅広い人材サービスを全国29拠点で展開しています。
2016年には、全国のエンジニア・デベロッパーの職歴・スキル・年収を参照でき、自分のキャリアとの比較、アドバイスを受けられるサービス「キャリアログ」を開始しました。
厚生労働省 優良派遣事業者認定制度:優良派遣事業者認定
キャリアを考えるときに、エンジニアが必要としているのは「求人情報」なのか
人材派遣会社として30年近い実績をもちながらも、ヒューマンリソシア株式会社にとってエンジニアの人材確保は大きな課題でした。ヒューマンリソシアはこれまでエンジニアへの訴求が弱く、まずは認知度を向上させる必要がありました。
この認知度の向上は、エンジニアの人材確保というよりも、エンジニアのスキルアップ支援を目的としていました。ヒューマンリソシアは奨学制度やセミナーも充実しており、これらをエンジニアにも提供することで、より自分に合った職場やジョブチェンジの機会を支援することが本来の狙いでした。
これを実現するためには、エンジニア向け求人サイトを構築し、企業とのマッチングをするだけでよいのかという疑問がヒューマンリソシアの新規事業プロジェクトを推し進めてきたバイスプレジデント・入江氏、経営戦略室・伊藤氏にはありました。
そこで、代表の市谷をはじめエンジニアの多く集まるギルドワークスなら、利用者であるエンジニアと同じ目線でサービスを検討できるのではないかという期待のもとに、プロジェクトが始まりました。
ヒューマンリソシア株式会社 経営戦略室 伊藤 真由美氏
ITエンジニアの方へ、セミナーやITコンテンツの提供を行なっておりましたが、スキルアップ支援という面で他に何かできることがあるのではないかと考えていた時、一緒に課題を解決してくれるパートナーとしてギルドワークスに出会いました。
企画から要件定義、開発、サイト立ち上げまでサポートしていただきましたが、キャリアログを通じてどのような価値を提供できるのか、10ある要件定義に対して一つずつ丁寧に議論を重ね、サイトや機能イメージを固めていきました。
今までにないサービスを作ることは難しいことですが、ディスカッションを重ねるうちにイメージが固まっていき、またアジャイル開発ということもあり、毎回打ち合わせ時に進捗状況や内容の確認ができるため、都度ブラッシュアップできる点は大変良かったと思っています。
今後もギルドワークスと一緒にエンジニアの方が将来やりたいこと、進みたい道を考えるきっかけ作りやさまざまな支援をしていきたいと思います。
他者との比較ができないため、”自分戦略”が練れていない
 まずは、エンジニアがキャリアアップしたいと考えた時に、どんな気持ちで、どんな問題を抱えていて、それらに対してこれから作ろうとしているサービスがどのような価値を提供できるのかを見定める「価値探索」を行いました。
まずは、エンジニアがキャリアアップしたいと考えた時に、どんな気持ちで、どんな問題を抱えていて、それらに対してこれから作ろうとしているサービスがどのような価値を提供できるのかを見定める「価値探索」を行いました。
ここでは、想定される利用者の属性に近い30代のエンジニア・デベロッパー9名にインタビューを行いました。彼らが抱えている課題をインタビューで深掘りし、「仮説キャンバス」にて明らかにしました。インタビューから抽出された利用者の課題や価値から、フォーカスをあてるべき部分を明確にし、サービスの全体像を構築していくためのものです。この結果、以下のような課題が浮き彫りになりました。
- ひとりきりでは、自分のスキルの認識と把握ができない
 エンジニアのスキルは絶対的な評価がしづらいため、他者との比較や経験からしか判断ができない
- スキルへの不安イコールキャリアへの不安
 エンジニアのスキルはキャリアと直結しているため、この次のキャリアへ進むためには自分のスキルが足りていないのではという不安がある。また、本来得ておくべき経験があるはずだが、スキル不足のためその経験自体ができていない
- 身近なロールモデルがない
 メディアで取り上げられるようなスターエンジニアと自分を比べても現実味がない
こうしたエンジニアたちは、開発しているプロダクトや所属するチーム、目の前の役割や仕事への意識は高いものの、自分がどうありたいかというキャリアへの”自分戦略”が練られていないことの裏側には、他者との「比較」ができていないという大きな課題が潜んでいました。
同じようなポジションにあるエンジニアや、自分の目標とできるようなエンジニアが、これまでどのようなプロジェクトでどのような役割を果たしてきたか、給与はどのくらいか、どのくらい専門性のある勉強をしてきたのか、技術は何か…これらを知ることなしに、自分のエンジニアとしてのキャリアパスを考えることができないというのが、価値探索の結果、明らかになりました。
コードのdiffをとるように、キャリアのdiffをとる
考えてみれば、自分ひとりでは、スキルや経験値の立ち位置が見えません。自分がどういう立ち位置にあるのか、今の経験とスキルの何が足りないのかは、「他者との比較」を通じて、自己認識が行えるようになり、その結果として目指すべき道への次の一歩を踏むことができるのではないでしょうか。
そうした「次の一歩」に対して、転職などの働き方を変えるかどうかの選択肢を示すことがヒューマンリソシアの役割として見定めることができました。
こうして、“コードのdiffをとるように、キャリアのdiffをとる”という新しいサービスのコンセプトが生まれました。
エンジニアが普段の業務でよく行っているコードの”差分を取る”、”差分を比較する”が、キャリア戦略サービスとしてのコンセプトの中心に据えられました。 このサービスによって、自分のロールモデルになりそうなエンジニアを発見し、彼らが自分と同じ年齢の時に何をやっていたのか、どういったスキルを深めていっているのかを知ることができます。さらに、そのキャリアやスキルの蓄積を、これまでの自分と比較することで、これからの自分が身に付けるべきスキルや経験と、何より「こうありたい自分」を発見するきっかけとなることが期待されました。
このサービスによって、自分のロールモデルになりそうなエンジニアを発見し、彼らが自分と同じ年齢の時に何をやっていたのか、どういったスキルを深めていっているのかを知ることができます。さらに、そのキャリアやスキルの蓄積を、これまでの自分と比較することで、これからの自分が身に付けるべきスキルや経験と、何より「こうありたい自分」を発見するきっかけとなることが期待されました。
こまやかなすり合わせをベースにした開発・制作
 コンセプトと方向性が定まったあとは、利用者がサービスをどのように利用するかの具体的なプロセスを洗い出しました。
コンセプトと方向性が定まったあとは、利用者がサービスをどのように利用するかの具体的なプロセスを洗い出しました。
ここで、エンジニアが他者とのキャリアのdiffをとり、自己の立ち位置を把握するためにはどのようなプロセスと機能が必要か洗い出していきました。この他、サービスとして・サイトとして、どのようなコンテンツが必要かも同時に見立てていきました。
ユーザーのプロセスを見立てる中で、このサービスではあくまで「キャリア比較」を前面に打ち出すもので、求人メディアでありながらあえて求人情報を一切扱わないという選択肢をとりました。まずは自分の立ち位置を把握し次のステップへのきっかけとなるサービスであって、必要があればメンター役の先輩エンジニアやキャリアコンサルタントに相談するというスタンスは崩しませんでした。これは正しく見定められた価値をコードへつなぐというギルドワークスならではのソフトウェア開発のやりかたです。
また、UIデザインもギルドワークスにて担当しました。「キャリアのdiffを取る」というこれまでにない発想から、どのようなUIが最適か、まずは手書きのラフを起こし、プロジェクトメンバーのみならず、ヒューマンリソシアとも議論をかわし、仕上げていきました。
2016年1月「キャリアログ」をローンチ
全国のエンジニア・デベロッパーとの職歴・スキル・年収を比較でき、自分のキャリア戦略を考えるためのサービスは「キャリアログ」と名付けられ、2016年1月29日にリリースされました。
公開時には、著名なエンジニアがメンターとしてアドバイスを行ってくれるキャンペーンや、新規登録者へ書籍のプレゼントなどで、大いに注目を集めました。
「キャリアログ」は、サービスのコンセプトから開発、UIデザインまで一貫してギルドワークスが担当しました。企画段階の「価値探索」において、利用者であるエンジニアのキャリア戦略上の課題を明確にしたことで、「求人情報を掲載しないキャリア比較サービス」という新しいコンセプトが生まれました。
プロジェクトを担当して
 担当:市谷 聡啓
担当:市谷 聡啓
キャリアのためのサービスは世の中に数多くありますが、対象利用者の課題解決にまで繋がるものを提供するためには、どのような価値提案が適するのかという仮説検証が必要となります。
デベロッパーの置かれている状況を、インタビューを通じて丁寧に掘り下げていく。サービスづくりは、利用者とつくり手の間の対話と観察の上で成り立つといえます。
キャリアログもギルドワークスが提供する仮説検証サービス「価値探索」と、動くソフトウェアを反復的に開発する「アジャイル開発」で、サービスローンチまで努めました。
本文中に記載の内容は掲載時点のものであり、閲覧時に変更されている場合があります。
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- 立ちあげたい事業があるが、本当に価値があるのかどうか自分で確信が持てない
- 新規事業を立ち上げなければならなくなったが、潤沢な予算があるわけでもないのでどうしたらよいのかわからない
- 企画が実現可能かどうか開発の視点を組み入れながら仮説検証したい
- はじめてのことばかりで右も左もわからない
