グループからチームへ。現場コーチがもたらした大きな変化(後編)

  • #開発現場コーチング

株式会社オプト

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お客さまインタビュー:株式会社オプト 虎谷様・伏見様

**現場のキーパーソンであるスクラムマスターとプロダクトマネージャー。それぞれが成長することにより、トップダウンだった意志決定システムが大きく変貌した。**

前回に引き続き、広告効果測定ツールADPLAN(アドプラン)を提供しているインターネット広告代理店オプト様にて、伏見様、虎谷様にお話をうかがいました。
(肩書き、状況などは2018年6月6日当時のものです)

## 「チームはこうあるべき」という思い込みを捨てる

中村:虎谷さんと伏見さんは最初は同じチームでした。私はそのチーム全体に現場コーチとしてかかわり、途中からはスクラムマスターとしての伏見さんと話し合う時間が徐々に増えていきました。それは伏見さんが別のチームのスクラムマスターとして活動するようになった後も続いています。

伏見:今のチームになったばかりの頃は、計画ミーティングの時にも発言するのが一人か二人で「質問ないですか?」って聞いてもシーンとして。「じゃあこれで行きます」という感じだったんですが、今では作っていくものに対して全員が「こういう設計だとやばいんじゃないか?」など意見が出るようになってきました。
さらにチームとして「こういう風にやろうと決めた方法を外れるのはいけないでしょ?」っていう考え方で、仲間をたしなめたり、一緒にやって作業を進めたりできるようになってきたと思っています。

中村:一回決めたことをちゃんとやろうとする意志が強く、規律を守ろうとする感じられるチームですよね。

伏見:「チーム一丸となってやり切りましょう」という感じはありますね。

中村:でも、伏見さんは新しいチームのスクラムマスターとして、最初はすごく苦労をしていたんです。

伏見:辛かった時期がありました。自分には「スクラムはこうあるべし」とか「チームはこうあるべし」という思いがあって、それと相反する人たちと対立していたんですよ。スクラムマスターがチームメンバーと対立してはダメなのですが、つい対立して、またやってしまったと落ち込む。それでスクラムのミーティングに出るのも億劫というか、辛い気持ちになっていました。

中村:伏見さんは勉強家なので、アジャイルとかスクラムとかをよく知っていて「チームってこうだよね」というこだわりがあって、違うやり方では勝てないって思っている節があったようです。でも「別のやり方でも勝てるじゃん」と思ってる人達もいて、そのかみ合わせがうまくできていなかった。
さらに伏見さんが前にいたチームは若手が多く和気藹々とした雰囲気だった。伏見さんはそこ成功体験を積んでいたので、当然「新しいチームもそういうチームにしたい」と思うわけですよ。しかし新チームはベテランが多かったので「なんでそんな今更」みたいな反応があって、最初はうまくいきませんでした。

伏見:僕なりに相手を理解したいとずっと試みてきて、1on1で話したりもしました。洋さんの助けもあったのですが、スクラムのミーティング時に僕に対してのフィードバックをみんなにしてもらいました。そのフィードバックの内容も自分に響きましたし、僕に対してフィードバックをすることで、対話しやすい雰囲気になり、メンバーの個性や、ファシリテーションのアプローチの仕方が段々わかってきました。それと同時に多分メンバーも俺がどういう人間なのかわかってきてくれた。
こういうやり取りができるようになってからメンバー同士でお互いに「もっとこうした方がいい」と指摘しあうことができるようになりました。おかげでコミュニケーションコストが減りました。今は下期もこのチームでやっていきたいと思っていますし、メンバーもみんなで一緒にこのビッグプロジェクトをやり遂げるぞ!という感じになっていますね。

中村:「そのルート以外にもあるんちゃうの?」「好きにやってもらって、こけそうなところをサポートしたらいいんじゃないの?」みたいな話を、一緒に食事しながらしたり、オンラインミーティングで相談していましたよね。
伏見さんが「チームとはこうあるべし」というこだわりを捨てて接することでチームが変わったように思います。今、みんな助け合っているし、最初の伏見さんが思っていた「チームこうあるべし」という形になっているんじゃないですか。

伏見:確かに実際そうですね(笑)。どこがターニングポイントだったのか、いつのまにかチームの雰囲気はかなり良くなっていました。スクラムマスターというロールは、色々な人へのアプローチをする役割で、チームによって個性が違うから同じやり方は全然ダメなのは自明なんですが、それが学べたのは良かった。

中村:「ちゃんと決めたことはやろうよ」となると、そこは職人肌で「やろうと言ったからにはやろうぜ。俺たちはプロや」という感覚が割と浸透して、プロフェッショナルな度合いが高いチームになりました。

伏見:面白かったのが、今のチームに一人トゲのある言い方をしてしまう人がいて、メンバーで話し合ったんですよ。その人がいない場で「あいつ、口が悪いよな」ではなくて、みんながいる場で「言い方が悪くてやりにくいからなんとかしてよ」って。
その話し合いでメンバーは、彼には悪気がないとわかった。そしてその人に対して「言い方が悪い時は、他の人が指摘してもいいよね?」「いいです」というやりとりができた。険悪になるわけではなく、その場で落とし所をちゃんと見つけた。そういうタフな話し合いができたのは自分でもすごいなって。

中村:人って、相手が気に食わないと陰で言ったりしがちですが、そうせずに、相手を受け入れた上で「良くないと感じたことはフィードバックするよ」とちゃんと約束できたのはすごいですね。なかなかそんなチームはありません。

伏見:今のチームでスクラムマスターをやってみて本当に良かったと思います。2チーム体験したことで「洋さんってやっぱりすごい」と実感しました。色々手札を持っているし、この手札をこう切ればいいんじゃないか、という案がバンバン出てくる。色々な経験を積んでいるのが強さの秘訣だろうと思いました。

中村:過去の現場で起きた事例から学んだことはいろいろ持っていますがあくまでその現場、その状況で起きたことです。「ここで同じことをやったらどうなるかわからないけれど、やってみたら?」って相手に選んでもらうことを意識しています。

伏見:そうですね。とある現場ではうまくいった、という事例にすぎないので、それをそのまま信じることはできません。

中村:その点は虎谷さんも伏見さんも理解してくれていましたので、私は安心して「他の現場で私はこんな実験をしたらこんな風になったよ」と言えました。

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## 後釜プロダクトオーナーから自分で考えるリーダーへ

虎谷:今だから言えますが、去年、プロダクトオーナーとしての僕はダメでした。前任のプロダクトオーナーが12月に退職することになって、僕は引き継ぎも兼ねて7月からプロダクトオーナーとして活動し始めたのですが、12月くらいまではあまり意思がなかったんですよ。当時は他人が作ったプロダクトに対して「なんで俺がこんなことやらなあかんねん」という感じだったんです。

中村:虎谷さんは当時、私が「なぜやるんですか?」って聞いたら「いや~、◯◯さんがやれって言うから」と答えていましたね。

虎谷:もし前任者が辞めなかったら、僕はプロダクトオーナーになっていなかった。だから「Why」がなかったんですよ。前任者が12月に辞めて、1月から自分がそのポジションになった。それでちゃんと引っ張っていかないと、という気持ちになりました。意思の持ち方が変わっただけですが、姿勢がだいぶ変わりました。

伏見:虎谷さんは、変わられたと思いますよ。

虎谷:あの頃に比べたらかなりマシになったと思います。あの頃は目の前にあるのが初めてのことだったので、やるしかないんです。だから意志を持ってとかいう余裕なかったんです。スクラムの知識が増えたというのはなくて、自分の中で知識の活かし方が変わってきたという感じはしています。

中村:ステークホルダーなどに対してチームの成果もちゃんと言いますし、無理なことは無理って言っているようですし。チームから見ても頼もしいだろうなと思います。

虎谷:チームが頑張っているのは知っているので、理不尽な無理は押し付けたくないんです。そこは僕で全部はね返す。僕でラインひいて、開発側に落とさないようにしています。

中村:かっこいい。色んなチームと話していて、虎谷さんが最近は深く考えて意思決定しているのをすごく感じます。

伏見:私は虎谷さんが意思決定をするシーンに接する機会は少ないんですが、プロダクトオーナーとしての責務は果たしてくれていると感じます。今後はプロダクトの方向性をもっと強く示して引っ張っていってほしいと期待しています。

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## 統括を動かし、意志決定のプロセスを変化させた

虎谷:うちは統括がいて、プロダクトオーナーがいて、開発チームがあるんですよ。プロダクトオーナーがどれだけ考えて決めても、統括が上から決定を落としてくるので、「じゃあ僕らが決めなくてもいいんじゃない?」「考える時間がもったいない」ということになってしまいます。この2,3ヶ月くらい、それをどうにかしなければ、という話をしています。

中村:統括の方に「みんな考えていますよ」と言ったら少し驚かれていました。みんなが考えているということも、考えたいと思っていても結果的にその状況になっていないということもあまり知られていなかった。

虎谷:プロダクトの方向性を話し合っていた時、統括と僕らでそのあたりの認識が違っていたんですよ。統括は「もっと意見が欲しかった」といい、僕らは「そんな風には見えませんでした」というやりとりがあって、その日の深夜に統括がチャットに長文を送ってきて「こう感じて、こうショックで、でも…」と長々と書いたあと、最後は「いったん飲みに行こう」で結んでいました(笑)。ADPLANは現在Ver.7ですが、統括はVer.5、6から関わっているので、思い入れが誰よりも強いんですよ。

中村:その件があってから、プロダクトの方向性は、上だけではなくて、プロダクトオーナーも決めようという話がどんどん進んでいきました。統括はもしかしたら「俺の思いに負けずに持ってこいよ」と思っていたので「熱量が足りない」と思っていたかもしれません。

虎谷:先々週くらいに僕らで決めた方向性を統括に持っていったんですよ。そこで「なるほど君たちはそう考えているのか。俺はこういう風に考えている」という意見交換もできて、それを元に洋さんと「こういうことをやっていこうと思ってるんですが」「じゃあ、ターゲットが誰で」と絞り込むことができたのは、すごく良かったです。

伏見:それは大きな出来事だったと思います。今の僕のチームでも「プロダクトの方向性が定まっていないことによる課題があるよね」という人はいましたが、チームごとの目標しか見ていなくて、他のチームがやっていることには興味関心が低い状態が続いていた。

虎谷:プロダクトの方向性が結構ブレていました。これからは「プロダクトとしてここを目指しているから、このチームはこれをやってほしい」というところまでちゃんと伝えられたら、すごく強いプロダクト、強いチームができるんじゃないかなと思っています。

伏見:プロダクトの方向性を定めていこう、という動きは本当に今後に期待が高まります。巨大なプロダクトで、人数も多いので、目線が揃うのは難しいんですが、そうなっていくよう進めていきたいです。だから虎谷さんに頑張ってほしいです。もちろん自分も手伝いますが、自分の役割はチームの目線を同じ方へ向けることだと思うんですよ。

中村:プロダクトの方向性がバーンと出ると、それぞれのチーム同士でもっと会話が必要になってきます。今は各チームをまとめる人はいても、チームとチームの間に立って調整できる人がまだいないので、伏見さんがそういうのをやって目線を揃えつつ、虎谷さんが前に進む方をやればいいのではないかと思います。

伏見:そうですね確かに。それぞれ役割は違うけれど一緒に頑張っていきましょう、という感じですね。

中村:虎谷さんと伏見さんは、いいコンビなんですよ。

**中村が入ることで、個人としても、チームとしても視座が上り、やがて統括も巻き込んで大きく変わっていった開発チーム。これからますますの活躍が楽しみです。**

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