- #開発現場コーチング
株式会社MonotaRO

株式会社MonotaRO
製造業・自動車整備業・工事業の消耗品、工場交換部品をはじめ、整備工具やタイヤ・足回り品、各種工事業関連用品、事務用品といった間接資材と呼ばれる商品の販売を行っています。MonotaROのオンラインショップは、「安く早く届ける」を特長とし、約180万事業所に利用されています。
CMでもおなじみの株式会社MonotaROは、「間接資材のAmazon」と呼ばれるほどのオンラインショップを擁しています。このオンラインショップのEC部分だけでなく、管理画面や基幹システムまで、基本的にすべてを内製しているため、「IT部門が会社の成長のブロッカーになってはいけない」という意識が強く、それだけに、販売・流通システムの基盤を支えるIT部門にかかる期待は多大です。
そのため、MonotaRO執行役であり、かつIT部門長である安井 卓氏は、IT部門が事業に貢献するスピードと質を高めていきたいと考えていました。IT部門の8グループが一体となり自律的に改善プロセスをまわすことで、それが可能になり、お客様により高い価値をより早く提供し、会社の成長に貢献できるのではないか、という期待を持っていました。
また、MonotaROのように急速に成長している事業体では、若いリーダーを育てていくことが急務となりますが、ビジネスの成長を優先するあまり、現場が教育のためのリソースをなかなか割くことができない状況にありました。
安井氏は、そこで、IT部門のさらなる改善、若手スタッフへの刺激として、開発現場のコーチングをギルドワークスへ依頼しました。
株式会社MonotaRO 執行役 IT部門長・安井 卓 氏
MonotaROは、少数精鋭のエンジニアたちにより、すばやく・適切にビジネスの成長に貢献してきました。今後、ビジネスの拡大に向けてIT部門もスケールさせていく必要があり、そのためには今までと違うスキルや視点・視座を持つ必要があります。ギルドワークスに入っていただくことで、メンバーの成長を促し、より大きな仕事を成し遂げられるようなチームへの脱皮を目指しました。
二方向によるとりくみ

MonotaRO社のIT部門をより飛躍させるには、二方向によるとりくみが必要でした。すなわち、
- 開発チームが自律的に改善プロセスを回し続けるようにできるようになること
- リリース・デプロイにおける非効率な作業やミスをなくし、そのリソースを機能開発に充てること
という、チームビルディングからの視点、技術的解決からの視点です。この二方向からの目線で現場のコーチングを行うため、ギルドワークスから2名の現場コーチがMonotaRO社へ訪問することになりました。
チームビルディングのとりくみ

- 朝会への参加とフィードバック
- 計画ミーティング、ふりかえりへの参加やファシリテート
- 課題発見とその課題解決へ向かうためのコーチング
- チームとしての存在意義、目標を見つけるワークショップ
- メンバーそれぞれの期待をすり合わせるワークショップ
主にチームビルディングを担う現場コーチは、週に1日MonotaRO社に訪問しました。上記のようなとりくみのほか、様々なミーティングのファシリテーター役を担ったり、それぞれのグループの課題や相談ごとに対して、これまで開発者として、また現場コーチとしての知見を活かしたアドバイスをしたり、一緒に解決にあたるなどしました。
また、ひとつのグループ(チーム)にとどまらず、グループ長同士の課題に踏み込んでいくようにすることで、互いのグループがどのように関わり合い、どのように相乗効果を産むべきなのか、マネジメントを担うグループ長自身もより上位視点で考えるようになりました。
チームビルディングの取り組みから、正しい現場へ
現在では、グループ長同士の会話も増えて、IT部門としての方向性や、あるべき姿を話し合うようになりました。
また、朝会、計画ミーティング、ふりかえりなどによって、タスクの見える化ができるようになっただけでなく、チーム内外からのフィードバックによって自己改善への意識が根付きました。
技術課題解決としてのとりくみ
MonotaRO社では、それぞれのグループごとに担当領域(APIやウェブ、基幹システム)が異なっているため、課題を絞り込むことが困難でした。そこで、技術改善を担う技術課題改善コーチがまずはグループリーダーにヒアリングし、各チームでの課題を図示し、聞き出していきました。

技術課題を改善するためのチームを、若手メンバー3名で組織しました。改善のテーマは「自動化」に絞りました。ひとつの課題に絞ったのは、まずは改善のためのプロセスをしっかり実行することで、次の課題はコーチの補助を受けつつも、自分たちで解決できるようになりたいというメンバーたちの思いがあったからです。
改善チームのキックオフとして、メンバー同士の期待をすり合わせるワークショップである「ドラッカー風エクササイズ」や、チームの方向性と目標を定める「インセプションデッキ」などのチームビルディングを行い、メンバーとプロジェクトの意志をしっかり固めました。
開発においては、1週間ごとに改善のプロセスをまわす、イテレーション開発を行っていきました。

- プロダクトバックログによる課題の管理
- 計画MTG
- ふりかえり
- オンラインによるデイリースクラム
- ペアプログラミング
これらのとりくみによって、オートマタチームによるリリースプロセスの改善がなされました。
これは、既存のデプロイ・リリース手順の自動化、ブラウザ自動テストの導入、大規模な自動APIテストの実践など、これまで非効率で手作業に頼っていた、リリースプロセスのボトルネックを解消するものでした。
オートマタチームの改善によって、リリース時間が約3分の1に短縮されたほか、手動では困難だった数万ケースの網羅的テストが実行可能になりました。
技術課題解決のとりくみから、正しいものづくりへ
これらのとりくみは、「ミスしにくくなった」、「楽になった」という評価をうけ、IT部門全体に伝播していきました。また、技術的な課題を解決しただけでなく、関わった若手エンジニアが問題を自主的に見つけ、解決し、また、技術的な調査についても積極的に行うようになり、他プロジェクトでも大きく活躍するきっかけとなりました。
株式会社MonotaRO IT部門コンテンツ開発グループ グループ長・牛島 真一 氏
ギルドワークスに現場へ入ってもらうことでチームに改善のサイクルが生まれました。一方で、それらの改善サイクルは、うまく広げていかなければ、あっという間に勢いを弱めてしまいます。
ボトムアップされたものを引き継ぎ、他へシェア・継続させていくことは、私たちグループ長の役割のひとつだと思っています。今後は、「各グループのグループ長」をひとつのチームとして、ギルドワークスにも協力していただき、よりよいチームへと成長できればと考えています。
IT部門という組織としての強化を支援
ふたつの方向からの現場の改善は、開発チームがそれぞれに課題を発見し解決し、組織として強化の支援となりました。
MonotaRO社での現場改善コーチは、一方的にコーチがメンバーを指導するものではなく、メンバーたちが考え、組織として利益を生み、顧客を満足させるための動きを判断することを促すものでした。
現在もギルドワークスからは現場コーチが訪問していますが、IT部門コンテンツ開発グループ グループ長の牛島 真一氏をはじめ、現場のスタッフがチェンジエージェントとしてさらなる改善を進めています。
プロジェクトを担当して
担当:前川 博志
今回は、若手メンバーをチームとして組織することで、技術課題の改善と個人の成長が両立できました。意欲的なオートマタチームと、それを支えた現場の皆に、敬意を表します。今後も、チームとして成長しながら、モノタロウの開発をもっと良くして行きましょう!
こんなことでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。ギルドワークスのメンバーがお話をお聞きします。
- 立ちあげたい事業があるが、本当に価値があるのかどうか自分で確信が持てない
- 新規事業を立ち上げなければならなくなったが、潤沢な予算があるわけでもないのでどうしたらよいのかわからない
- 企画が実現可能かどうか開発の視点を組み入れながら仮説検証したい
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