「視座を上げてユーザーと向き合いたい」そのきっかけとなった現場コーチ(後編)

  • #開発現場コーチング

株式会社エウレカ

お客さまインタビュー:株式会社エウレカ 梶原様・丹様

開発現場でどのように現場コーチ中村は受け入れられたのか。後編では、社内スクラムマス
ターの育成など、現在とこれからについて、エウレカの梶原様、丹様にうかがいました。
(肩書き、状況などは2017年8月24日当時のものです)
前半はこちら

スクラムマスター同士での学び合い

中村:今、4チームでスクラムをやっていて、各チームにそれぞれプロダクトオーナー(スクラ ムにおける責任者)と、丹さんのようなスクラムマスター(チームのコミュニケーションを円 滑にする役割の人)がいます。私を含めスクラムマスター4人は週1回30分くらい”スクラムマス ターとしての困り事を解決したり、お互いのチームのことを話し合う”時間を取っています。 そこでは「スクラムマスターとしてこういう場合どう動いたらいいと思う?」「プロダクト オーナーがこういうこと言ってきたらどうする?」みたいなケーススタディもやっていたりします。

丹:あれすごいよいですね。

梶原:ほかの現場を疑似体験をするようなイメージですよね。

中村:スクラムマスターは性格的な向き不向きもありますが、経験がモノをいうところもあり ます。 「他の現場でこんなこと起きたんやけど、その時、自分がそのチームのスクラムマスターなら どう考えて、どんな風にやってみる?」と、私が他の現場で見た事例を抽象化して話していま す。必ずこうすべきだといった正解はないことが多く、いろいろな考えがあるので、それを知 るために模擬的にやってみようと思い付きで始めたのがきっかけです。 「俺だったらこうする」とか「こっちが良いんじゃないの」といった活発な議論が出て、おもしろい場になっています。4人ともスクラムマスター向きな人達で、それぞれ得意技や色がちょっと違 う。私もすごく楽しいし「あーなるほどそう考えるんだ」と勉強にもなることもたくさんあり ますね。

丹:僕のチームでは、バーンダウンチャート(チームが行うタスクの残り時間の推移を見える化したグラフ)を毎朝見て活用できていますが、あるチームではバーンダウンチャートをうまく活用できていなかった。そういう時に「こういう風にやるといいよ」と情報交換したり、バーンダウンチャートの落ち方によって問題がありそうな時「みんなだったらどうする?」とか「なにが問題だろう?」みたいな話をして「ああーそうだな」っていう学びがありましたね。 各チームでうまいところと下手なところがあって、そのうまいところを自分達に取り込んで試してみる。それが4チームいるとすごいやりやすいです。

今後はさらに視座を上げて

中村:丹さんのチームがミーティングでステークホルダーからの要望が書かれたチケットを見ながら、「こういう意味でじゃないの?」「僕はそうは思わない…」と延々゙議論をしていたことがありました。 私はその光景を眺めながら「そこにおんねんから、聞いたらええのに」って思ってた。「チー ム外の人に質問したらあかん」「依頼者に手間を取らせてはいけない」みたいな変な制約を勝手につくっていたようでした。

「いやいや、そこに依頼者が歩いてるから、”ちょっと教えて”って質問していいんだよ」と伝え たことがありましたね。 推測のまま物事を進めて、開発して、そのできあがったものを見せて「これ違うで」と言われ てガックリくるのと、質問するというちょっと気持ち的にハードルがあることをやって5、10分話をして確信を持って進めるのと、どっちがいいか聞くと「後者です」という。

丹:僕がこの話で学んだことは、推測はしないでちゃんと会話をするということ。ビジネスサイドと開発チームの仲は良かったんですが、お互いやって欲しいこと、要求を詰めるなど深く理解する会話が少なかった。いくら推測しても、聞かないとわからない。推測するより聞いた方が早い。

梶原:ビジネスの人は数字を見ているし、開発の人は「どうやったらもっと使いやすくなるのか」を見ている。考えているところが違う、そこをすり合わせるのが重要ですよね。

丹:今のところ、エンジニアはあんまりサービスの数字を細かくは見てないですよね。全社的な戦略プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントはチーム責任者レベルは理解してるんだけど、メンバーは1回聞いただけで終わっていて、まだまだ理解の浸透が足りない。 経営層も「戦略や数字に関する質問もマネージャークラスからしかされたことない」と言っていて、メンバーはまだそこまでの視座を持ってないんだなと。

中村:それは悔しいですね。聞けないような現場の雰囲気でないんだから、いくらでも聞いたらいい。
よく梶原さんや丹さんと話してるんですが、開発のやり方は上手になってきているし、かなり成長している。ギルドワークスは「正しいものを正しくつくる」を目指しているんですが、エウレカさんは技術力が高く、つくることに関してすごく貪欲だし、問題と向き合うことができています。
「正しくつくる」ことは心配していないのですが、「正しいもの」探しのところが、まだ誰かの勘とか状況が一緒かどうかを確認しないで「よそがうまくいったから」のみの理由だったりすることがある。そこをサイエンスに近づけたい。
ユーザーを見る、知るということにまだあまり関心が強くなく、作られたものが本当に使われているのか、ユーザーがハッピーになっているのか、もしくは「想定と違ったよね、じゃあ次こうしよう」みたいなところは、まだ回っていない印象です。

梶原:それぞれのチームがユーザーインタビューをしようって作戦を立てていたね。

中村:あまり使っていない人向け、よく使っている人向け、男女、年齢層など、それぞれのユーザーの要求にどう答えるか、モヤ〜っとしてる感じで「とりあえずこれ出す」みたいな傾向があるので、もったいないなと思いますね。いいチームだからこそ、そこができるようになったらもっと変わるだろうなと。

梶原:仮説検証ってその視点がないと絶対できないと思っている。現状は「どううまくつくるか」の方に目が向いている。それを「どうやってプロダクトをよくするか」に目を向けて、チーム全員がプロダクトの次をちゃんと考え、仮説を検証して、本当にお客さんに使ってもらえるプロダクトを作っていきたいと思ってます。使われないモノを作ってもしょうがない、っていう話ですね。

丹:開発チームはまだその辺うまくないですね。

中村:「そこは経営サイドの誰かの仕事」という感覚がもしかしたらあるかもしれません。
「つくるのが仕事ならまあそれでもいい。だけど使ってもらってなんぼのもんだから」って話をよくしているので、高い視座で見てみることができるようになればと思います。

梶原:今の時代、プロダクトの出来が経営にすごく影響を与えるじゃないですか。IT企業だから特にそうなんですが、質の高いプロダクト、ユーザーに価値を提供するソフトウェアの作り方を知り、学ぶことは本当に重要だと考えてます。そしてそれは経営課題でもある。課題をちゃ んと解決できる人と仕事をするのが大事だと考えてます。

一人ひとりからチームへ、さらに視座を上げて、経営課題に向き合える人を増やしたいというエウレカのみなさん、これからもギルドワークスは二人三脚でお手伝いします。

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