ソニテック株式会社様:工事工程ごとの建築資材がセットで買える、初めてのECサイト

  • #受託開発

ソニテック株式会社

会社の良さを伝える、初めてのECサイト

LIXILグループで建築資材・梱包資材・産業機器・木工機械の総合販売を手がけているソニテック株式会社様。今年4月にECサイトをオープンしました。3ヶ月という短い期間での開発にどんな困難があったのか。ソニテックの井本様と大山様に伺いました。

2017年4月、工事工程ごとの建築資材がセットで買えるECサイト(https://www.sonitech.jp/)をリリースしました。

大山様(以下敬称略):私自身は「うまくいくの?」なんて思いながら、去年の10月ぐらいにプロジェクトに参加したんですよ。競合他社のECとかぶる商品も多く、正直「今さらどうかな?」という感じもありました。

井本様(以下敬称略):私はもっと遅く3月にサイトオープンと同時期に参加しました。

-ギルドワークスが関わりはじめたときの思いは?

上野:最初に「ソニテックさんってこういうやり方してるんだよ」と、家のイラストに対応して「ここに使うこういう部品、資材ありますよ」という印刷物を見せていただいて「あ、これは面白いな」と思いました。全く資材のことがわからない私でもファーストインプレッションで「ここにこんな部材が必要」というのが直感的にわかる。「WEBでこれを実現できたらすごく面白い」と感じました。ECサイトはゴールではなく、どうやってお客様に必要な情報を届けるかも含めて、ECでの販売を実現していく、それをご支援できたらいいなというのが、最初の思いですね。

市谷:2つあります。ひとつは、建築やリフォームの業界は、ITでやれることが結構ありそうだと思ったんですね。例えばあるマンションに100世帯の住民がいたら、リフォームするには100人の日程調整が必要になる。調整なんかも、エクセルの表をプリントアウトして、廊下に張り出して、ちょっと更新するだけでも確認しあわなきゃいけない。これはITがあればもっと便利になる、そういうところが色々あるかもしれないと思った。それが関わりたいと思った理由のひとつですね。
もうひとつはキックオフなどでソニテックの皆さんと関わるなかで、真摯な姿勢を感じたこと。「これで今までと違う事業展開をするんだ!」みたいなすごく熱い思いをうけて「我々がそういう方々の力にならんでどうするんだ!」と感じたというか、ちょっとでも力になれたらいいな、と思いました。

要件定義でのつまずき

大山:キックオフ前に、いろんな準備をしていただいたんですよね?

上野:競合他社と比べてではなく、ソニテックさんの強みを生かしてECサイトを作るという方向性で、どんなやり方がいいのかを探るために、想定顧客にインタビューを行っていました。1~2ヶ月で方向性が見えたというので、キックオフしましょう、ということになりました。

大山:ECを立ち上げるのは初めてで、任せるしかないかな、という受け身の状態であったのも事実ですね。当然ながらノウハウも一切ありませんので、御社を頼るしかなかった。お任せして、必要な情報を聞いてもらえば「こうです」「あぁです」って答えるというスタンスでスタートしたのは悪かったなって正直思ってるんですね。

3ヶ月の開発期間

市谷:年明けに始まってリリースは4月11日。開発期間としては3ヶ月と比較的短いんですが、その中でどんな課題を感じられましたか?

大山:今思えばですが、スタート時に我々は「任せていれば競合他社のECと同じようなものが出来上がる」と思ってました。任せきりではなく、ITの開発についてちゃんと知っておくべきだった、と思いましたね。

市谷:具体的な話でいうと、うちが困ったのは既存のシステムとの絡みですかね。

大山:既存システムに取り込んでから出荷作業に移ることで、いろんな問題点が出てきたんですよね。ソニテックの業務では既存システムありきだったんですが、営業はECとして全部完結して最終データを既存システムに取り込めばいい、と考えていた。実はECとして注文を受けて出荷するまでの全工程をまるまる開発した方が早かったのか、とか。

上野:最初は逆だったんですよね。ECで素早く立ち上げて売りたいので、在庫管理とかバック側も開発するとすごくボリュームがでてしまう。せっかく既存のシステムがあるのだから、うまく連携していけば運用的な影響も少ない、というのが最初の見立てだったんです。ところが蓋を開けてみると、既存のシステムがEC向けフォーマットを持っていないので、フォーマットをECの項目に無理やり置き換えることになった。例えば現状では「住所欄に金額を入れる」みたいな、項目名と異なるものを入れている。我々としても出来上がるまで「このデータ構造で本当に大丈夫なのか」みたいな不安はありましたね。

市谷:そういう不安を感じたので、「足らない」「考えると変」みたいな話を引き出せたらと思い、要件定義の終わりに、業務マニュアルまではいかないけども、どういう手順でこれを使う、というのを一旦アウトプットしていただいて、擦り合わせをしたんですね。

次の開発から定例会を実施

市谷:最初の開発を終える時「次の開発は、週1回定例で2、3時間かけて、お互いに情報を共有し、想いを話しながらというスタイルでやりたい」という現在のスタイルを提案しました。やりたいことだけ聞くと「えっ?」ってなるんですが、定例で「なぜ」という背景からお聞かせいただけると、我々としても「そういうふうに進めていくなら、こういう作りがいいだろう」と先回りして考えられる。
我々には現場のイメージが具体的にないので、「買う人はこういう状況で、買い方はこうなる」とか「ホームセンターで買うこともあるが、人によっては部品の洗い出し自体ができない」とか、そういう話は新鮮でした。ソニテックさんから建築資材の知見をいただいて、逆に我々はこれまでさまざまなECを作ってきた中で得た知見を提供して、それをうまく噛み合わせたいと思っています。

上野:「会員登録の記入欄を改善したい」とか「商品の見せ方は売れてるサイトを参考に見直したい」とか、実際の売り上げ結果を踏まえないと難しい。それが今できていて、すごくやりやすいですし、改善スピードも上げられると思います。もちろん内容によってですが。

運用後の今だから見えているもの

市谷:運用してきてECの勝ち筋が見つかった部分ってありますか?

大山:営業ではよく「勝ちパターンを作れ」といいますよね。でも勝ったことない人に勝ちパターンは作れない(笑) 。営業スタイルを先輩から後輩に伝承しても、その人のカラー次第というところがあり、根拠を持って理論立てて横展開できない。ECは、100%とまではならないまでも、ある程度答えに近づける気がするんですよね。スピード感であったり、理論立てた行動といいますか。そこは旧態依然の営業スタイルではかなわない気がしますね。現状、社内も何が何でも会社全体として成功させようという意気込みで動いてます。

井本:私もECは初めてなんですが、すぐ結果がわかるというか、見えるところがいいですね。ソニテックは商品を工程別にピッキングして現場に届けるというスタイルが強みですから、それをうまく生かしながら、今800社ほどのお客さんを、いかに増やして行くか。ソニテックの価値をどうやってお客さんに提供して行くか、EC事業を立ち上げに合わせて、うちの営業スタイルを見直していきたいですね。

上野:この3月から先月ぐらいまで、会社さんへのインタービューをしたところ「なるほど、こういうことなんだな」と思うことが結構ありました。

ソニテックさんを既に使っている人たちは、割と現状に満足しているから「明日からECです」と切り替えるより、「営業さんに毎回電話するが申し訳ないんだよね」みたいな隙間を埋めてあげるといいんじゃないかとか、ソニテックさんを全く知らない方には工程別にパックで届けるというのがわからない、あるいは「汎用化しているので、ジャストフィットじゃないね」というご意見をいただいた、というのがあります。最初は「工程別の方を推していきましょう」だったのが、今は「工程別セット販売の優先順位を落としてもいいんじゃないのか?」という話題すら出ている。本当はそういった話がもっと前段にできたらよかったんですが、ECを立ち上げて運用して慣れてきたところだからこそ「こういう状況だったらこういう舵に切り直した方がいいんじゃないか」というお話ができる。今だから見えてる目線というのはあるのかなって気がしますね。

大山:現場ごとに工程管理をできるようにするとか、見積書作成機能から一気に購入までいけるとか、色々アイデアは出てると思いますし、やりようはある気はしますよね。

市谷:作ってから「じゃあ検証してみましょう」と、ユーザーインタビューをしてわかったことが結構あります。ECで物を買いたいというニーズに応えるだけでは既存サービスには勝てない。一方で「やっぱり営業と話さないと買えない」という人もいる。もちろんECとしての作りこみは必要ですが、ものを買うことだけに目を向けていては、特徴が出しにくい。大山さんがおっしゃるように見積もりが絡んでくるとか、図面から必要なものが買えるとか、そういう風に、買うことの前後を含めて、どんな問題を解決すると一番喜ばれるだろう、みたいなビジネスを、これからは突き詰めていきたいですね。

上野:ECを入り口に、誘導するやり方もありますし、ECで完結しないスタイルもいいような気がするんですね。特徴としての窓口的なサービス。ECの趣旨としては、業務の効率を上げるというのはあり、それとは逆行しますが。

市谷:ECを入れることで、業務の手離れをよくさせようというのは、まあ当然ありますね。今、全部人でこなせているならば、全部自動化するスタイルを考えない方がいいんじゃないかなと思っています。少しで自動化できれば時間が効率的になる、という考え方もあるので、「こういうものがあれば少しラクになるな」という方向がいいのかなと感じています。

アイテム数を増やし、近い将来、ECを営業の軸に育てたい

井本:正直な話、ECはもっと簡単に売り上げが上がる、もっと簡単に会員が増える、簡単にどーんと行くのかなと思っていたら、全く行かない。自分もソニテックの内外を2か月ぐらい見させていただいて、全部ECで完結するというやり方だと、かなり難しいのかなと。見積もりにしろ提案にしろ、もしかしたら人を介さないとかなり難しいのかな、というのが今一番のイメージです。ただ、まずはサイトの全体の見直しがあるのかなという感じです。じゃあ本当に人を介したら売れるのか、お客様に喜ばれるのか、というところはその次の段階で。

上野:あるお客さまの例ですが、最初はなにが売れるのかわからないなかで「やってみよう」だった、たまたま軍手がやたら売れて「この方向で攻めよう」というところから広まっているし、商品を増やすのも「こういのにニーズがありそうだ」ととりあえずアイテムを増やしてみて、売れ始めたらそこをどんどん広げていく、というやり方をされていた。そもそも何が売れるかは、そういうところからきっかけを作って広げていくと、よりよくできるのかなと。

井本:何が当たるかとか何が成果になるかとか全然わかりませんが、今はとにかく、いろいろやってみるという感じですね。

大山:ソニテックとしてやれるのは、まず商品を増やすことかなと。年間で何万アイテムという計画を前倒ししてやろうとしています。でも、ただ商品アップするだけでも意外に大変で、まだまだ先は長いという感じですね。

井本:掲載するのに思った以上に時間がかかる。

上野:我々もようやくエクセルでいただければ入れられる仕組みを作れたんですが、今また見直していて、商品を手際よく増やしていける仕組みが必要だと思いますね。

市谷:それは次の定例会でさらに詰めましょう。

大山:もっとDIY的に、例えば釘とかビスを買う、というのならわかるんですが。実際、予想外の方が予想外のものを買っているんですよ。例えば北海道のログハウスの喫茶店を経営してる会社さんが、結構高額なルーフィング材(屋根の瓦の下地になるような部材)買っている。それもDIYでやるレベルのものじゃないんですよ。自分で直すのか支給するのか、自社で使うのかなという。そういう需要があることが改めてわかった。これを買うんだ、というのが我々の感覚では意外でした。それはECやって初めて分かったことが、普段の営業にも活かせると思いますね。

-逆に普段の営業がECに影響していることってありますか?

大山:昨日もリフォーム会社さんに「金属屋根できるの?」とか「外壁できるの?」って聞かれて「できます!」って答えました。、うちは普段やらないんですが仕入れるルートはあるので、できる。ECはそういうことなのかなと思いますね。「なんでも屋です」ぐらいになると面白いかなって。

井本:そういうのをさらに反映できていくと面白いですね。お客さんからセット販売の要望があったら「ECで買ってください」みたいなことを言えるようにしたいですね(笑)。

大山:今普通の営業よりECのことばっかりかわいがってて、自分が担当しているお客さんよりも「ECのほうで注文ないかな」と朝イチでチェックですよ。どうやったらアピールできるのかとか考えています。

大山:将来ソニテックの販売の半分ぐらいをECで担えるように。会社の軸に成長させたいなと思っています。

井本:3年後にはECとして高めの売り上げ目標があります。

大山:有言実行にしたいですね。とはいえ、我々はITに関して素人なんで、我々の思いを実現化していただくために、今後もお願いしますという感じですね。

井本:ECサイトをどうやって成功させるか、率直に意見を言える雰囲気になっていますので、自分たちもいろいろな意見を出し、ギルドワークスさんのほうからも意見を言っていただいて、協力して一緒にやっていきたいと思っています。

当初はECサイトに「今さら感」もあった、というソニテック様ですが、既存のスタイルと顧客の要望を突き詰めていくと、唯一無二のECサイトを実現する糸口がつかめました。さらなる成功に向けてギルドワークスはこれからもご支援を続けてまいります。


工事工程ごとの建築資材がセットで買えるECサイト

https://www.sonitech.jp/

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