SBヒューマンキャピタル様:人材事業者だからこそできる「架け橋」としてのポータルサイト「移住ナビ」開発ストーリー

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SBヒューマンキャピタル

やりたいことを、住みたいまちで 〜運命の地域と出会える、移住情報サイト〜「移住ナビ」:https://iju-navi.jp/

SBヒューマンキャピタル株式会社様より依頼を受け企画開発した「移住ナビ」は、2016年9月30日(金)よりサービスを開始しました。全国約1700もの市町村と移住希望者をつなぐ情報サイトとして、ギルドワークスでは現在も支援を続けています。

SBヒューマンキャピタルでは【「働く」を変える】を経営理念とし、各種人材サービスを提供しています。特に近年では、若年層の労働力不足が顕著となっている地方への移住促進、地方創生や雇用創出を非常に大事なテーマととらえています。「移住」や「二拠点居住」などの新しいライフスタイルに関心を持たれる方と、全国約1700の市町村をつなぐ、新しい提案ができるポータルサイトが「移住ナビ」です。

今回は、プロジェクトマネージャーである、SBヒューマンキャピタル経営企画部 地方創生支援部 部長三倉 信人様を交え「移住ナビ」開発にいたった経緯や、開発中のエピソードなどお話をうかがいました。

## 「移住ナビ」誕生の経緯

まず、最初に開発の流れを振り返ってみたいと思います。
三倉さんから「移住ナビ」について、ギルドワークスにお声がけいただいたのは2016年5月頃でした。6月までは市谷・上野と何度か打ち合わせを実施し、その後、佐々木が引き継ぎ、要件定義とラフスケッチの提案を7月いっぱいで実施しました。

8月からの初期開発を開始しました。体制としては、メインの担当が佐々木、開発とデザインはギルドメンバーの朝倉さん、原さん、辻田さん、角田さんというメンバーで行いました。その後2ヶ月ほどかけて開発し、初回リリースが2016年9月30日でした。その後、改修項目や機能追加など11月に実施し、現在は、保守運用を続けているという状況です。

佐々木ー どのようなビジョンで「移住ナビ」を作ろうと思ったのでしょうか?

三倉様(以下敬称略)一 まず、移住と転職って「似て非なるもの」であると思っています。

中途採用転職をメインドメインとしてきた当社としては、転職サイトは営業効率を考えると、仕事も人も東京に集中しがちでありました。この人材ビジネスモデルのままでは、同じ生活圏、東京の中だけで求職者が回っているだけの状態。私達の事業が東京の中で人を巡回させるお手伝いだけだとしたら、日本のGDPには貢献などしてないな…と感じたんです。

今、世の中の流れとして「地方創生」だとか、ヒト・モノ・カネが都会に一極集中ではなく、いろんなチャンスや価値を地方で見出すことが話題となっています。

まさに転職について専門性を持つ僕らが「イケてる田舎町」「元気な地方」を、次の転職先・生活場所の選択肢として、情報提供するのも一つのミッションではないかと考えたんです。

佐々木ー 非常に面白いですね。移住ナビの事業を始めるにあたり、苦労なさった点、工夫なさった点はありますか。

三倉 ー 私自身、東京の企業との付き合い方や東京の求職者の動きなどは把握しているものの、地方で働くとはどういうことなのか、ピンとこないことがありましたね。地方での人脈づくりの方法やら、転職・求人のマッチングなど、経験不足は感じました。

そこで、まず地方の自治体とガッツリ手を組んで、まちづくりコンサルティングを行おうと考えました。日本のさまざまな中山間地域にある共通の課題を、インターネットでその問題解決につながればな…と。こうして動き出したのが2015年10月でした。

それはちょうど私がSBヒューマンキャピタルに入社したタイミングでして、最初に「鳥取県八頭町(やずちょう)」が民間事業者と一緒にまちづくりを推進するプロポーサルに我々SBヒューマンキャピタルが手を挙げる形でプロジェクトがスタートしました。

以降、多い時では週の半分位は出張で現地に入り、八頭町の特徴を知っていく中で、この地域特有の課題に加え、全国で約7割とも言われている中山間地域の共通課題とも言えるものも見えてきました。

そこで、移住に興味関心を持つ人と、自治体の移住担当者をマッチングできるサイトを作ろう!と。しかも、本業が人材事業者である我々が作ることに大きな意味があると思ったのです。メディア運用の構想自体は元々あったのですが、やはり八頭町との関わりが大きなキッカケになりました。

佐々木 ー 私は元々東京で7年間仕事をしていたのですが、家族のことを考え宮城に戻った「Uターン転職者」なんです。ギルドワークスはリモートで仕事ができるという強みがあって入りました。

今回「移住ナビ」について提案があった時に、「東京to東京」だけじゃなく、地方ならではの働き方が可視化され、移住者が増えたらもっと面白いと思いはずだ!と思いメイン担当者として開発に名乗りを上げました。

## 仕事は誰とやるか、そして何のためにやるか

三倉 ― 仕事って、何をやるかより、誰とやるかが大事だ、なんて言われたりしますが、この仕事を通して、近頃は「何のためにやるか」が一番大事だなと改めて感じています。開発担当のメインである佐々木さんが、Uターン経験者というバックボーンがあることで、お互いの共通意識があったのは嬉しい限りですね。もしかしたら、東京生まれ・東京育ち同士が両社の担当だったら、見いだせないこともあっただろうし、サイトの仕上がりも全然違っていたかもしれないですね。

佐々木 ― そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。

移住ナビ」開発中、三倉さんにとっての「ターニングポイント」はどこでしたか?

三倉 ーもう~これはね、毎週がターニングポイントでした(笑)というのも、サイト開発のプロジェクトマネージャーというのは僕自身「初体験」だったんです。

ソフトバンクグループには「情報革命で人々を幸せに」という理念がありますが、私自身はこれまでの経験からも、「コードって…?」みたいな状態で、サイトをゼロから立ち上げる中で初めて見聞きすることが多く、どの方向性で意思決定すれば良いものが作れるのか、最初は本当にすべてが手探りの状態だったんです。

日々仕上がってくるラフスケッチやデモ環境など、打ち合わせの中でギルドワークスは「深い部分」まで入り込んで来てくれる。「こっちでつくるとこうなる」「こういう方法だとこうなる」と、会話のキャッチボールが非常に多かったのは助かりましたね。とにかく、わからないことだらけだったので、毎週のミーティングが常にターニングポイントでした。

佐々木 ― 確かに、大阪の開発メンバーも居たため、オンラインの打ち合わせが多かったですね。特にデザイン担当の角田さんと三倉さんの間では、Skypeで綿密にやり取りしていただきました。

開発から上がったデザインやデモ環境をギルドワークス側で精査しつつ、三倉さんに提案するという流れの打ち合わせが毎週行われました。

## 開発段階での双方のこだわりとは?

佐々木 ー開発側として、ちょっとこだわったことがあるんです。ずっと「自治体:municipality」(マニシファリティー)とい単語をソースコード内部で使っていたのですが、ギルドワークス内部で指摘と議論があり、違うなと。「まにしふぁりてぃー」って言いにくいし使い慣れない。それに「自治体」という言葉よりも「うちの町」のような雰囲気の方が良いよね!ということになり代わりに「town:タウン」を使うことにしました。

「タウン」って行政区分で区切られた地域ではなくてざっくり隣町も含めたり、生活圏に根ざした意味合いがある気がしたんです。で、municipalityをすべてtownに書き換えました。そんな風に、サイト上で使っている言葉や、URLなどに使われる言葉には「魂」がこもると思うんです。

三倉 ー こだわりというと、まずデザインですね。「移住ナビ」に遊びに来てくれた人が最初にこのサイトを観てどう思うだろう?という点です。あとは、検索ですね。といっても1700もある中から、自分に合う町って一体どこだろうというと「まずは検索」だろうと思いました。

そして、トップページには、特徴によって市区町村の絞込ができるコーナーを置いたのですが、この20種類特徴をどんな内容にしようかと。ユーザー目線で、どんなキーワードなら探したいと思うか…それはこだわった点ですね。

佐々木 ー 確かに、記事との関係性はこだわって進めた印象があります。まずトップページ上で各項目をどの順番するか?という点。サイトを見たら「まず検索」だろうという話がありましたが、移住に興味があったとしても、いきなり検索ワードって浮かばないんじゃないか?と思ったんです。

例えば、自分の出身地や住んだことのある町しか、キーワードとして浮かばないのであれば、検索メインというよりもファーストビューで特集記事が最低限見えるようにした方が良いと提案しました。「ここは何か記事があるサイトなんだ!」というところをまず見せないと。

もう一つこだわった点で言うと、どのくらい運用しやすくできるのかな…ということは気にしながら作ってましたね。「移住ナビ」は、Ruby on Railsで構築しており、工数をかければオリジナルで記事執筆者向けのオンラインエディターを作ることもできました。

ただ、移住ナビには元々WordPressで運用されていたサイトがあり、記事についてはそこから一部移管する形で進めるという前提がありました。オリジナルのエディターを作っても、WordPressに匹敵する満足のいくレベルのユーザビリティを担保するのに、相当大きな工数が必要になるなと判断したので、結局、WordPressを利用する形としました。WordPressくらいの機能がないと、記事の更新性が悪くなってしまう気がしたんです。

少なくとも、記事の執筆にはコストをかけないといけないところなので、変に内部を作り込もうとすると、かえって工数がかかってしまいます。現実的な方法で最大限の効果を生むことと、運用面で負荷にならないようにという点をかなり意識して作りました。

三倉 ー 確かに、サービスとしてローンチした後で、ちゃんと運用に耐えうるかというのはとても大事ですね。WordPressで記事投稿できる点で私も手馴染み良く、運用しやすい体制にしてもらったと感じています。

## ローンチ後に感じた「移住ナビ」の役割と強みとは?

三倉 ― これまで当社が提供してきた転職応援サイトの「イーキャリア」と今回の「移住ナビ」って、構図として実はあまり遠くないものだと思っています。

例えば…

イーキャリア:求人企業 ー 求職者

移住ナビ:市町村 ー 移住希望者

この左右をある種「お見合い」してもらってマッチングさせるのが、我々のミッションなので、それを成功させるため、双方の情報の質や量をどうやってあげていくか…というのを考えなければいけない。

例えば、会員登録では必須項目と任意項目の分け方ではギルドワークスさんと、どんなカラムにしようかとかなり喧々諤々しましたよね。多すぎても少なくてもいけない…結構議論しましたよね。

佐々木 ー はい、議論はかなりしましたね。
ローンチしてみて気づいたことはありますか?

三倉 ー サイトを初めて見た人の動向が、ローンチ前に想像していたものと大きく違うと感じました。初めてプロジェクトマネージャーをやったがうえに、そのギャップも大きく感じたのかも…

佐々木 ― ギルドワークスは「仮説検証」ということを売りにしていて、例えば今回の場合だとインタビューをして記事を掲載して…ということを、サイトを作る前にしたかったんです。ただ、ミッションとして立ち上げ時期が決まっていたこともあり、ある程度の見込みのもと、突っ走った感はありました。

三倉 ー ローンチ後のサイトにおいては、UI・UXがどうというよりも「移住」そのもの対して、人の興味度合いとか、必要に差し迫られてる感ってどうなんだろう?と考えることがありますね。例えば、通販サイトや婚活サイトなどは、会員登録するための動機ってハッキリしてますけど、「移住」となると動機づけがそこまで強くなかったりするので。

佐々木 ー 記事そのものには引きの強さを感じてます。Facebookなどでシェアすると、記事はよく読まれるし、移住に対してポジティブな気持ちになれるサイトという手応えは感じています。

三倉 ー「移住ナビ」の要である記事は、僕が実際に現地に出向いて、こだわりをもって書いてます。

移住者を受け入れたい各自治体の担当者と話をし、町のあらゆる場所を見て回ったあと、その地域に実際に移住した方から直接話をうかがって記事を書いています。

各市町村にとっては、移住者が増えてくれることは町の活性化として、望むべき姿だと思います。ただ、首都圏から地方へ移住しようと考える人が、欲しいと思っている情報は「客観的に」提供するのが「移住ナビ」の大きな役割だと思っています。

例えば、現地に住む人が記事を書こうとすると「空気がキレイ、食べ物が美味しい、自然がいっぱい、ぜひ来てください!」と、ほぼ同じようなアピールになってしまう。良いところだけではなく、中山間地域にありがちな不便さや、暮らしにおいて工夫が必要なこと、もちろん仕事探しや生活情報を、できるだけフェアな形で提供したいと思ってます。

その町に行ったこともない第三者が、実際に日帰りで行って客観的に記事を書くことを大事に考えてます。特に移住者インタビューでは「実際のところ、不便なこともぶちゃけあるでしょ?」って聞いちゃいます。当然本音が出てきますが、それもフラットに書くことは意識していますね。

こういう点は不便だけど、こういうところは特徴として「ここに行かないとできない」んだと、なるべくフラットな目線で読んでもらって、「じゃあ次の連休にでも遊びに行こうか」というアクションに繋がるよう意識して書いてるつもりです。

「移住」そのものは今すぐでなくても、将来的に暮らしの拠点を地方にしようとか、田舎暮らしも良いなと、なんとなく考える人は潜在的にいると思うんです。そんな人にこそ読んで欲しいなと思ってます。

## 開発プロジェクトマネージャー「初体験」で感じたギルドワークスらしさとは?

三倉 ― 今回改めて佐々木さんに伴走してもらって感じたことなんですが、私がこれまでサイト開発に深く携わった経験が無い分、それがどういうリソースをかけて作られてるのか何にもわからない状態だったので、良くも悪くも出来上がりのイメージだけが先行するわけです。ただそれを実装しようとすると、実際の開発というのはなかなか大変なわけじゃないですか。

予算や納期、サイトの見た目のクオリティー、運用上のやりやすさなど、サイトを作ることに紐づくあらゆることに関して、なんでもかんでも言いたい放題、という訳にはいかないものだ…という気付きは早いタイミングできましたね(笑)打ち合わせで佐々木さんに「このポイントにおける優先順位はどこなの?」とよく聞かれて考えることがあったので、サービスを作るってこういうことなんだ…と実戦で学ぶことができましたね。

佐々木 ー アジャイル開発においてよく「荒ぶる四天王」と言われている項目があります。「納期・スコープ・品質・コスト」なのですが、この4つは開発で必ずモメるんですよ。なので、最初にどれが一番重要で、どれが譲れるものなのを、きちんと話しておかないといけないですね。
開発に熱中すると他のパラメーターを重要視してしまうこともあるので「それは本当に必要なのか」と立ち戻って会話するのは必要だと思うんです。発注側に立つ人がこの点をわかっていらっしゃれば楽なんですけど、そこまでの知識を持った上で開発に望めというのも無理な話かと思います。なので、ギルドワークスとしては「どれだけ事業に寄り添っていけるか」というのはよく考えることです。

三倉 ー なるほど。私は地方創生支援がメインミッションですが、人材事業者として転職のお手伝いをする機会は少なくありません。
求職者との面談で転職の相談をうけるとき、現業で感じている給与や安定性、やりがいなどの自己評価を自身の持ち点とした時に、転職でその合計点をすぐにはあげられないけれど、その配分を変えることはできる、とアドバイスしています。
つまり、サービスを開発するときでも同じで、限られた持ち点(開発の規模)から、どこに重きをおくべきかという意思決定を突きつけられる。ギルドワークスさんはそれを「翻訳しながら一緒に考え」てくれるんです。会話が多いことはサイトを作るプロセスのなかで、よりイメージが沸いて助かったところだと思ってます。

組織上ミッションがあって「こういうサービス(サイトやアプリ)をつくりたい」と思った時に、ある程度の経験がある人だったら「できるだけ忠実に、早く、安くつくって」と発注するだけかもしれませんが、ギルドワークスは「良き伴走者として」一緒に経験値をあげてくれました。開発のプロセスの中でたくさんの会話があるというのも特徴的で、別の視点をもらえるというのも、ギルドワークスの大きなポイントだと思います。

開発のプロマネは初めて…というの人にこそ、ギルドワークスはオススメです。

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