- #開発現場コーチング
株式会社サイバーエージェント


課題:チームで業務の改善プロセスをまわしたい
株式会社サイバーエージェントが受託開発を担当している大規模B2Cウェブサイトの運用チームは、プロパー社員が在籍せず、業務委託スタッフのみで構成されていました。このため、メンバー間のコミュニケーションがとりづらく、チームとして適切なフォローアップや問題の抽出ができず、どのメンバーもオーバーワーク気味で疲弊していました。
そこで、しっかりしたチームビルディングと開発プロセスの改善の必要を感じた同社インターネット広告事業本部より、ギルドワークスへ現場コーチの依頼をいただきました。
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ご担当者よりコメント
今回、開発を担当したウェブサイトをアドテクやデジタルマーケティング環境に柔軟に対応させるにあたり、大きなボトルネックのひとつが運用のワークフローにあることがわかりました。
ただ、我々のリソースはサイトシステムのリニューアルに注力させたかったため、その改善にまで手がまわりませんでした。そこで、ギルドワークスにリニューアル後の運用フェーズにおいて、チームが自律的かつ高速にプロセスを回していけるようなチーム作りの支援をお願いしました。
とりくみ:「ふりかえり」を徹底的におこない、
改善のプロセスを現場に定着させる
ヒアリングを行った結果、運用チームにはマネジメント上のボトルネックがあり他部署との意思疎通が行いづらく、また、チームが大きいためメンバー間での共有が十分でないなどの課題が明らかになりました。
これらの課題を解決するには、マネージャーやリーダーがチームメンバーへ指示を出して動かすのではなく、メンバー自身がそれぞれに自律的に活動することが必要と考えられました。さらに、大きな課題に大人数で取り組むのではなく、小さな課題に分割し、ひとつずつ改善するためのプロセスを着実に行っていくことを目指して、現場コーチとして参入しました。
現場の課題を解決するためのとりくみ

本件の現場コーチは、2015年4月〜6月の期間で、全9回を行いました。
- 徹底的なふりかえり
- カンバンと朝会の導入
徹底的な「ふりかえり」
最初の1ヶ月は「ふりかえり」のみを行いました。
日々の業務において、どのようなタスクがあり、タスクの遂行上どのような問題があり、それにどのように対応したのか・対応できなかったのかをふりかえることで、チームメンバー自身で自分たちの状況を明らかにしました。
このふりかえりでよく挙げられたのは、「オーバーワークである」「常に忙しい」といったものでした。どの現場にも共通の問題ですが、なぜオーバーワークとなってしまっているのか、そこに隠されている原因をつきつめることはあまりないかもしれません。そこで、「因果関係図」を用いてこの問題を深掘りしました。
因果関係図によって、
- 常に割り込みが入る
- 割り込みされたタスクの結果優先順位が分からなくなっている
- 割り込みや優先順位のぶれがチームとして把握できていない
ということが明らかになり、その結果、オーバーワークが発生していることがわかりました。つまり、チームにおいてタスクの「見える化」がなされていなかったのです。
「カンバン」と「朝会」の導入
「ふりかえり」を行なったことで、改善すべき課題のひとつは、「タスクの見える化ができていない」であることがわかりました。この課題の解決のため、「カンバン」と「朝会」を導入しました。
「カンバン」によって、タスクとワークフローが可視化され、共有されます。また、メンバー全員が扱うもののため、同じチームとしての一体感が生まれました。
チームで工夫をしたのは、カンバンでリードタイムを計測して、どこにボトルネックがあるかを把握することでした。このボトルネックがどのように自分たちで解決できるかを判断し、改善につなげることができました。
このカンバン運用は、タスクが可視化されていないというチームの課題解決にフィットしました。メンバーで話し合い、試行錯誤しながら、何度かレーンを作り直したり、といった、カンバン運用自体の改善も行われました。
また、「朝会」によって、毎朝メンバーがそれぞれ「昨日やったこと・今日やること・困っていること」を報告しあい、カンバンと組み合わせることで、個人の過負荷を防ぎ、助け合うことができます。
最初の1ヶ月間のふりかえりで挙げられることが困っていることだらけだったものが、カンバンと朝会を利用する中で、わかったこと、学んだことにフォーカスしたものが挙がってくるという、意識の変化も見られました。
課題の解決:タスクが「見える化」され、
自律的に改善活動を行うチームへ
カンバンと朝会でタスクを「見える化」、チームとして助け合い残業時間が激減
カンバン運用によりタスクが「見える化」されたことで、チームの稼働が把握され、さらに、ボトルネックの把握によって業務への取り組みのプロセスや効率が改善され、結果、残業時間が半分以下にまで激減しました。
少人数チームと短い開発サイクルによるPDCAを実施
ふりかえりとカンバン運用で見出された課題を、小さく分割して改善を繰り返すことで、チームに知見をためやすくなり、また、改善ポイントをチームとして考える場を持つことができました。
現場コーチの意義
担当:現場コーチ 中村 洋
現場コーチとして次のようなことを意識しています。
現場の方々がこれまで知らなかった、できなかった技術や考え方、道具を知り、使えるようになること。その新しい知識を知ってそこでとどまるのでなく、未来に出てくる課題や状況に応じて、自ら考え、行動して、それらの道具を改善したり、新しい道具を手に入れる行動ができるようになること。
今回の現場コーチでは、最終的には「朝会」「カンバン」「ふりかえり」という3つのプラクティスを行いましたが、一気に導入するのではなく、チームが「(カンバンで解決できそうな)課題が出ている」という時に、それに適したプラクティスを入れていくといった、段階的な導入を意識しました。
こんなことでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。ギルドワークスのメンバーがお話をお聞きします。
- 立ちあげたい事業があるが、本当に価値があるのかどうか自分で確信が持てない
- 新規事業を立ち上げなければならなくなったが、潤沢な予算があるわけでもないのでどうしたらよいのかわからない
- 企画が実現可能かどうか開発の視点を組み入れながら仮説検証したい
- はじめてのことばかりで右も左もわからない