この記事は、 ギルドワークス アドベントカレンダー の23日目の記事です。
今回は、ふりかえりの技法「タイムライン」をつかって良かったことを、お話しをしたいと思います。
#タイムラインについての説明は、 「タイムラインを使っていこう!(前半)」 をご参照ください。
現場でタイムラインを使ってよかったこと
タイムラインを使ってよかったことはたくさんありますが、現場支援の立場でよかったことを言葉を置き換えると「関わるチームの目線が変わっていった。」ということに尽きると思います。
(ふりかえりのファシリテーション次第ではあるのですが、)短期的なふりかえりのみを繰り返している場合、直近のタスクを消化するための課題にのみ関心が集まる~とか、時間に追われて短絡的なカイゼン策ばかり選択する~といったケースをよく見かけます。
要約すると、「視野が狭い状況」に陥っている訳ですが、この状況に違和感をもつメンバーが出てきたタイミングでタイムラインを実施すると、チームの目線が変わっていくのです。
チームの目線はなぜ変わるのか?
チームの目線が変わる理由は、タイムラインの特性にあります。
タイムラインは鳥瞰して出来事を眺めることができる形式で、長期的なふりかえりに適しています。やってみると、おや不思議。「俯瞰して物事」を捉えやすいので、チームが今までは捉えることができていなかった課題を発見し、取り扱いはじめます。これが、チームの目線が変わる理由です。
特に価値があるのが、繰り返し起きている事態をチームが構造的にとらえる瞬間です。短期間のふりかえりでは見落としていたチームの「悪癖」が認識できた~とか、チームの活動を繰り返し阻害する組織文化上の課題が表出した~などケースは様々ですが、チーム自身が課題を構造的に捉える瞬間は、チームがレベルアップできる「入り口」です。
私は、このような瞬間に立ちあえたとき、大きな喜びを感じ、チームを祝福しています。チームの目線が変わりはじめた価値ある瞬間だからです。
感情を取り扱うとさらにパワフル
感情もあわせてタイムライン上で取り扱うと、状況をより前進できるのでおすすめです。
私がタイムラインでファシリテーションをする場合、当時の気持ちを、メンバー同士が率直に対話するよう奨励しています。この過程では、自分自身の悔しさや喜びを思い出したり、プロジェクトに対して秘めていた想いを仲間同士が知ることで、「何故、そのような事態に陥るのか根本的に考えたい。」「次のプロジェクトは今回よりも絶対よいものにしたい。」といった動機が芽生えることは少なくありません。
この動機はパワーになります。自分たちのチームが抱える構造的な問題を見つけ、チームのありたい姿(ビジョン)を生み出す源になります。短期的なふりかえりで行き詰っていたチームが、目線を上げ、ありたい姿に向かって自らが舵をとる。タイムラインを活用してからは、このような場面に何度も立ち会えることができました。
これが、このツールに感謝している理由の1つです!
コツは心理的に安全な場をつくること
感情面も取り扱うふりかりを成功させるためのコツは、心理的に安全な場をつくることです。
例えば、上下関係がハッキリと見える場でのふりかりを思い出してみてください。ハラハラする場面もありますが、必要なのはそういった状況でも衝突を避けるのではなく、互いが「理解」できる場をつくることが重要です。理解の対象はチームが置かれている状況の理解であり、その場で発生する感情の理解です。
人は、相手が置かれている状況を構造的に理解し、その場で生まれる感情に触れた時、相手の立場に立って物事を深く捉えることができます。ある現場では、感情面も十分に取り扱ったタイムラインを実施したことで、マネジメントの方が「現場の目線に降りて考えることができていなかった。」「チームに支援が必要な状況を見逃していた。」と気がつかれていました。
このふりかえりは、マネジメントの方も巻き込みたいといった現場の要望からはじまりましたが、この出来事からマネジメントの方のふるまいは変わり、チームとマネジメント双方からお礼の言葉もいただけました。(タイムラインに限りませんが)ふりかりを成功させるために、互いが深く理解できる場をつくることがもっとも重要であると実感したエピソードでした。
最後に
このように、私は、タイムラインをつかったふりかりを現場で実践することに値打ちを感じています。
その一方で、今までやったことがないふりかえりをすることに、リスクを感じて躊躇っていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか?ぜひ、そんな方が、挑戦いただけるきっかけになるといいなという想いを込めてこの記事を書きました。
挑戦してみたいのだけど、ちょっと躊躇っていますとか、ファシリテーターを求めていますといった方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご相談くださいね。
この記事が、どうか、あなたの現場のお役に立ちますように。一足はやいですが、メリークリスマス!
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