ギルドワークス市谷です。
プロジェクトを始める際にやるべきこととして 「インセプションデッキ」 づくりがあります。アジャイルサムライで紹介されてから数年が経ちますが、未だその意義が色褪せることはありません。タイミングにより作り損ねてしまった場合はどうしても、その後の進行がぎこちなくなります。インセプションデッキで互いの期待をすりあわせておくことは、たいていのプロジェクトにおいてお薦めしたいことです。
インセプションデッキのアジェンダのひとつに 「トレードオフスライダー」 があります。
プロジェクト上の判断基準として、「品質」「コスト」「デリバリー」「スコープ」をどのように優先するべきなのか、関係者ですりあわせるための道具です(私は「仮説の検証」を5つ目の基準として追加するようにしています)。この基準をプロジェクトの最初に見ておくのはもちろん、時とともに変わっていく可能性があるのを踏まえて、折々でチェックするべきです。
プロダクトオーナーとの会話の中で、トレードオフスライダーで可視化した基準とは異なる 匂い を感じる時があります。それは、デッキを取り出し 現時点の基準 を関係者で確認するタイミングです。トレードオフスライダーは、以前確認したことに縛られるために存在するものではありません。プロジェクトを取り巻く環境、状況は変わっていくものです。状況が変わっているならば、それに応じて基準の 認識 も変えなければなりません。
外的環境(プロジェクトの外部)の変化を受け入れることは、すなわち内的環境(プロジェクト、チーム)のその適応のために、必要なタスクやアクションがとられなければならないということです。基準の変更に応じて、必要なタスクやアクションが発生すること、その 認識を関係者で共通とするため にトレードオフスライダーは存在します。
例えば、「コスト最優先」のプロジェクトが状況の変化によって「デリバリー優先」へと変わった場合、チームはその実現性を検討し必要なアクションを洗い出さなければなりません。検討の結果何らかのトレードオフやリスクが出てくるかもしれません。関係者が「基準を変更したこと自体」はもちろん、それに伴うトレードオフや必要なアクションについて認識しなければ、プロジェクト自体のリスクが暗黙的に高まってしまうことになります。トレードオフスライダーは現状の基準可視化にとても有効な手段といえます。
※注意:この記事は2015年6月4日に GuildWorks Blog で公開したエントリをリライトしたものです。
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