クライアントの現場と共に、課題を解決し、あるべき姿に向かうために活動している 現場コーチ では、ふりかえりなどのミーティングでファシリテートを担うこともあります。
そのようなふりかえりなど人が集まる意見を言い合い、議論する場では グランドルール を活用することが多くあります。
※注意:この記事は2015年6月16日に GuildWorks Blog で公開したエントリをリライトしたものです。
ふりかえりにおける「安全な場」の大事さ
「安全な場」であるかどうかが、よいふりかえりができるかの1つのポイントになります。
ふりかえりではうまく行ったことも、うまく行かなかったことも、それらの改善も、新しくチャレンジしたいことなど様々なことを話し合います。 特に課題であるProblemは、その原因を突き止めるために深堀りしないと上辺だけのTryになってしまい、改善がうまく進まなくなります。
Problemの真因は突き止める際には、誰が悪いといった名指しは論外ですが、厳しい事実や状況と向き合う必要があります。
こういうシーンで「これを言うと誰かが嫌な思いをするんじゃないか?」「後で怒られたり、嫌われたりするのでは?」など不安な気持ちがあると、改善のきっかけになる意見やアイデアはなかなか出てきません。
そのために参加者が安心して発言でき、ふるまうことができる「 安全な場 」が必要になります。その安全な場を作る1つの方法が「 グランドルール 」です。
安全な場を作る「グランドルール」
グランドルールとは会議、ミーティング、自助グループなどを行う際に設定することがあるルール。会議をスムーズに進行するため、ファシリテーターが会議前に設定する場合や、ある程度、大枠を決め、参加者の案も混ぜて、共に作っていく場合もある。「グランドルールを作らない」というグランドルールになるケースもある。( Wikipediaより )
「ふりかえり」のような厳しい意見も闊達に出し合う必要のある場、利害関係者が多く意見がまとまりにくそうな場ではグランドルールを話し合って参加者同士で決めてもらうようにしています。 #「意見を出す」というウォームアップも兼ねていることもあります。
これまで見聞きしたグランドルールとしては以下のようなものがあるので、参考にしてもらえればと思います。
- 人の話を最後まで聞く
- 否定しない
- パソコンやスマホは触らない
- 話すのと書くのは同時にする
- 腕組みをしない
- リーダーの人はすぐに発言せず10秒待つ
内容の補足をします。
「4:話すのと書くのは同時にする」は議論の空中戦を防ぐためです。
白熱してくると会話が飛び交い、対立点や論点が見えづらくなります。また会話ばかりになることでスピードが早くなりすぎ、当事者以外が置き去りにされることもあります。
「5:腕組みをしない」は、上司がこういう姿勢をするとプレッシャーに感じて意見を言い出せないといった意見も多くあり、これを軽減するためです。
「6:リーダーの人はすぐに発言せず10秒待つ」をグランドルールとしたチームもありました。このリーダーは頭の回転が早く、知識も豊富だったため、メンバーから出た課題や意見にすぐに指示や答えを言ってしまう傾向がありました。
そのためチームとして「もっと話し合いたい」という意思表示からこのようなグランドルールが出ました。
#余談ですが、このリーダーはチームからのフィードバックと受け止め、ふりかえりだけでなく普段の場でもこれを意識するようにしたそうです。
「グランドルール」の運用
みんなで合意したグランドルールはホワイトボードなど目立つ場所に書くなどして、意識できるようにしておきます。
そのグランドルールが破られたりして「安全な場」が脅かされそうになれば、メンバーやファシリテーターがそれを伝えるようにします。
#あまり細かい点まで目くじらを立てると場のリズムが止まってしまうので、流れを読みながらします。
グランドルールを破った際に100円などの罰金を取る案も時々見聞きします。これもゲーム性を高めることで意識してもらいやすくなる側面があります。
一方で、「罰金を払ったら良いんだろ」と開き直ったり、違反しているかを気にして本筋の話に身が入らないこともあるので、塩梅に留意する必要があります。
どのようなグランドルールにせよ、目的は「 安全な場を作ることにより、参加者の多様な意見やアイデアを引き出すこと。そして、それにより場のアウトプットをより価値の高いものにすること 」です。
このような現場コーチに興味を持たれた方はお気軽に サイトのお問合せ からご連絡をいただくか、SNSなどでお気軽にコンタクトしてください。
Photo credit: https://www.flickr.com/photos/liberato/2292651755/
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