「根本的な帰属の誤り」という考え方

こんなことはありませんか?

皆さんはタクシー待ちの列に並んでいます。そこに人が割り込んで来たとします。その時、割り込んだ人にどのように感じたでしょうか?
「秩序を壊す人だ」「ルールを守らない、いい加減な人だ」 と感じたでしょうか?

※注意:この記事は2015年5月7日に GuildWorks Blog で公開したエントリをリライトしたものです。

一方、自分が同じことをした時はどう感じるでしょうか?自分以外の他人がした時と同じように自分のことを 「(自分は)秩序を壊す人だ」「(自分は)ルールを守らない、いい加減な人だ」 と感じるでしょうか?

自分がこのような行動をした際には「本当はこんなことしたくないけど、人を待たせているから早く行かないといけない」というように自身の性格、特性ではなく状況を理由にすることが多いのではないでしょうか?

このように他人の行動は、その人の 性格や特性 をその原因と感じる一方、自身の行動は、 状況 がその原因とする見方をすることが往々にしてあります。

これを心理学の言葉で「 根本的な帰属の誤り 」と言います。

現場コーチでの活用

ギルドワークスの 現場コーチ の現場で「根本的な帰属の誤り」を活用しています。
ふりかえりで、特にProblemを話し合う時にこの「根本的な帰属の誤り」の考え方を参加者に伝え、意識してもらうようにしています。

例えば、機能を追加するコードを書いた時、それに対応するテストケースの追加が漏れたためバグが出たとします。
このテストケースの追加を忘れた人を「ずぼらな性格だ」と性格にフォーカスするのではなく「 テストケースの追加が漏れた状況はどのようなものだったのか? 」という状況にフォーカスして話し合いをしていきます。
もしかすると「10分ごとに進捗を聞かれていて、強いプレッシャーを感じていた」「テストケースの追加は不要とレビューで有識者と共に判断した」など別の原因が見つかるかもしれません。

この「 状況にフォーカスする 」ことで、当事者を含めた参加者は遠慮せずに、よりうまくなるために改善案を考えて、言葉にすることができるようになります。
他のメンバーにも「自分が当事者だったら、どんな状況があったと思いますか?」等と問いかけることで、客観的に状況を想像でき、活発な意見が出て、結果として、改善が進みやすくなります。

この「根本的な帰属の誤り」の影響は強く、直接言葉には出ていなくても、すぐに当事者の性格や特性にフォーカスしたような雰囲気になることがあります。このような時に現場コーチとしてうまくファシリテートしていくことで、現場改善を推進しています。

このような現場コーチに興味を持たれた方はお気軽に サイトのお問合せ からご連絡をいただくか、SNSなどでお気軽にコンタクトください。

Photo credit: https://www.flickr.com/photos/digitalmindphotography/8663886016/

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